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産婦人科医の医療過誤訴訟、原告敗訴(福島地裁)

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雑感 業務その他
平成20年8月20日、福島地裁において、注目の判決が下された。

産婦人科医の急減のきっかけとも言われる福島県立大野病院で起きた
帝王切開による出産後、胎盤剥離が発見され、結果として出血多量で
母親が死亡するという痛ましい事故を巡り、医療過誤の有無、および
医師による証拠隠滅の可能性の有無が問われた事件の判決である。

判決文を手に入れていないので、明確なことは分からないが、
新聞各紙が速報してくれている。
ここでは、毎日新聞のネット記事を紹介する。


 本件の被告である加藤克彦医師は、平成16年12月17日、
帝王切開手術中、はがせば大量出血する恐れのある「癒着胎盤」と
認識しながら支給摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で
胎盤をはがして女性を失血死させ、医師法21条が規定する
24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかったとして起訴された。
 争点の胎盤剥離について、判決は大量出血の予見可能性は認めたものの、
「剥離を中止して子宮摘出手術などに移行することが、
当時の医学的水準とは認められない」と判断した。
医師法21条については「診療中の患者が、その病気によって
死亡したような場合は、届け出の要件を欠き、今回は妥当しない」と指摘した。
 医療行為を巡り医師が逮捕、起訴された異例の事件で、日本医学会や
日本産科婦人科学会など全国の医療団体が「結果責任だけで犯罪行為とし、
医療に介入している」と抗議声明を出すなど、論議を呼んだ。
公判では、検察、被告側双方の鑑定医や手術に立ち会った同病院の医師、
看護婦ら計11人が証言台に立っていた。


このような事件であるが、私は専門家責任の立場から、
極めて妥当な判決ではないのかと考えている。
娘さんを殺された父親の「絶対の許さない」という気持ちも分かるが、
法律上は妥当であろう。

故意による医療ミスであれば、医療過誤事件ではなく、殺人事件であるべきであろう。
毎日のネット記事では、加藤医師の支援をしてきた上准教授の見解として、
「今回のような医療事故を法廷で真相究明することの限界が明らかになった。
これを機に医療事故における業務上過失致死罪の適用について国民的な議論が必要。
司法関係者も、医療事故に刑法を適用することの是非をもっと議論すべきだ」
という意見を掲載しているが、まさに至言である。

医師は人間なのだからミスもありえよう。
しかし、専門家としてこの資格無しに業務が出来ない国家資格を、
国家から付与されたことの意味を、医師は考える必要があろう。

医師法1条
「医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び
増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」

医師法17条は、
「医師でなければ、医業をなしてはならない。」、

医師法19条
「診療に従事する医師は、診療治療の求があった場合には、
正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」

医師法は、以上のような規定を以て、
医療行為を国家資格を持つ医師のみによる独占事業としているが、
これは、医師に必要な高度専門性を確保し、医師を名乗る人間の
最低限度の実力を担保することによって、粗悪な医療行為による
公衆衛生へのマイナス効果を減少させることを目的とするのであろう。

また、医師に医療行為義務を負わすことにより、
救急医療への対応をも、法律上は図っているのである。

ここで考えてもらいたい。
近年頻繁に起こる救急患者のたらい回し事件を。
これは医師法19条違反の恐れが十分にあるのではないのか?
たらい回しにより受け入れ病院が見つからずに死亡する患者は、
医師法19条違反の医師によって間接的に殺されたといえるのではないのか?

専門家責任の立場から、本件は極めて妥当な判決であると述べたが、
専門家が果たすべき責任は結果責任ではなく、善管注意義務である。
その状況において最善を尽くしたかどうかであるはずであろう。
そうでなく、結果責任だというのであれば、
医療行為の結果、患者が死亡してしまうとしたら、
その医師は殺人を犯したことになるのか。

同じことが私のような税理士であれば、租税裁判の結果、
納税者の脱税が確定した場合には、その申告を指導した税理士は
脱税指導したことになるのか。
専門家責任論から言えば、結果責任とはこのような意味である。

専門家責任論から見れば、むしろたらい回しの方が悪質であるにもかかわらず、
奈良県警も大阪府警も、妊婦たらい回し事件を問題にしていない。

先に紹介した上准教授の言われるように、
医療事件の刑事事件性の検討が今後に求められる課題であろう。

近年盛んになってきたインフォームドコンセントやセカンドオピニオンは
患者が自分の受ける医療行為を理解し、病院を選択する上で、重要であろう。

我々税理士もこの事件を対岸の火事としてではなく、
専門家責任のあり方を考えるべきであろう。

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