- 森岡 篤
- 有限会社パルティータ 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
人は、生まれ、育ち、子供は成長して成人となり、若者から中年、高年、老人となります。
その時どの年代かにより、生活、生き方、価値観は変化し、それに伴って、家に対する要望、つまり家の必要な機能も変わります。
子供にとって家で必要なのは、遊ぶスペース、勉強スペースでしょうか。
成人しても、若いうちは貧乏で狭い家がちょうど良いとしても、仕事で成功して収入に余裕ができると、もっと大きな家がほしくなるかもしれません。
自分の子供が成人で、子家族が同居するならば、2世帯住宅が必要となります。
逆に子供が独立別居したら、夫婦だけのこぢんまりした家がいいでしょう。
老後はバリアフリー、ユニバーサルデザインの家が必要です。
このように、年代によって、その人にとって必要・適切な家(つまり家の機能)が変わります。
機能的耐用年数とは、 生活の変化により、家の機能が対応できないために家を建て替えるときの、家の存在期間をいいます。
例えば、親から受け継いだ古い家。
若いときは、少々不満もあったが、そのまま住み続けた。
出世して、収入も増えたので、もっと広く高い天井の居間、使い勝手の良いキッチン、十分な収納の家に建て替える。
この場合、親から受け継いだ家は、生活に合わなくなった、つまり機能的耐用年数となったわけです。
住み手の生活が変化して、家の機能が合わなくなったのです。
子供家族が同居するので、2世帯住宅に建て替えるというのも、前の家が2世帯住む機能がないために、機能的耐用年数とされたわけです。
このように、機能的耐用年数は住み手である人の判断で決まります。
物理的耐用年数、つまり老朽化して寿命かどうか、とは関係ありません。