矯正治療=かみあわせ改善
は間違いです。
みなさんは一般的には、「歯並び」を治す手段として矯正治療をする、と思われませんか?
私の医院にご相談に来られる患者さんの多くは、
歯並びを良くする=矯正治療=噛み合わせ改善と思っておられます。
しかし、必ずしも矯正治療をしたからといって噛み合わせが改善されるわけでは、ないのです。
見た目重視の矯正治療は、逆に噛み合わせを悪くしてしまう可能性だって潜んでいるのです。
ところで、みなさんは矯正治療ってご存知でしょうか?
一般的には「歯並びを綺麗に並べる治療する」というものですね。
子供さんがするもの、というイメージをお持ちの方がほとんどですよね。
矯正治療は成人してからでももちろん行えます。
しかし、矯正治療をしたのはいいんだけれども
● 「なんだか顎が痛い」
● 「顎がカクカクとする」
● 「なんだか寝起きが悪い」
● 何年かすると歯並びが崩れてきた
矯正治療を終えてしばらくして、そんな事を訴えられる方が
実はとっても多いのです。
子供の頃に矯正治療をして歯並びが良くなったはずなのに、
成人になってからどんどん歯並びが崩れてきたという方は本当に多いのです。
実際に、私の医院にも、「とにかく今すぐなんとかして欲しい」
とおつらいお悩みをご相談に来られる患者さまは多くいらっしゃいます。
矯正治療をして、噛み合わせは良くなったはずなのに「顎がだるい」とか、
「体の調子が悪くなった」そんなことを言われる方が本当に多くいらっしゃるんですね。
おかしいですよね。
治したはずなのに、こんな症状が出てしまうなんて…。
それは「噛み合わせのバランス」をキチンと考えずに矯正治療を行ってしまうと残念ながら
必ずこのようなことが起こってしまうんですね。
ですので、歯が有る、無いに関係なく、楽に顎を閉じられる状態の時に、
関節や筋肉に無理な力が掛かっているのではなく、楽に口を閉じた時に、
上の歯と下の歯が奥歯でしっかりと噛める状態にあることがとっても大切なのです。
しかし、ほとんどの方はそうではなくて、楽に閉じた時には、歯がその場所に均等にないので、
歯が有る場所にアゴをずらしてでしか噛めないんですね。
例えば
● 「顎を引っ込めて噛んだり」
● 「顎をずらして噛んだり」
● 「こねたりして噛んでいる」
● 「顎を前方に突き出して噛んでいる」
この様な方が実は多くいらっしゃいます。
ほとんどの方に「私はこうやって噛んでいる」という意識はありません。
自覚はありませんが、私の医院に来られる患者さんの多くは上記のように噛んでいます。
無意識に、です。
では、口を楽に閉じた時の噛み合わせ場所って一体どこなのでしょうか?
それは、歯があると邪魔をしますので、歯が無い状態で、顎を開け閉め開け閉めする状況を
意識的に作ってあげる、ということをします。
それによって、顎を支えている筋肉のコリをほぐしていくわけです。
具体的には「マウスピース」というものを使います。
「マウスピース使ったことあるわ」という方は多くいらっしゃると思います。
しかし、私の医院でマウスピースを使いはじめた患者さんは
みなさん口を揃えてこうおっしゃいます。
「今までのマウスピースとは全然違う」
「マウスピースって、こんなに全身のバランスを整えるものだったんだ」
と、特に朝起きた時の体調の変化に驚かれるのです。
マウスピースを使用する目的、そしてその概念が全く違うのです。
全ては「噛み合わせのバランスを整える」という軸になる考えを元に患者さんのおひとりお一人に
微調整しながら作製していくものなのです。
私の医院で使用するマウスピースは7種類あります。
患者さん毎に使用する形態や材質が違います。
単純に、歯をガードするためのもの、ではないのです。
この、「噛み合わせを探す為のマウスピース」と言うのは、歯の様にデコボコしているのでは無く、
ツルンとスケートのリンクの様にツルツルした、真っ平らな状態の物を使います。
素材は硬いプラスチックです。
それによって、どこで噛んでも噛める状況にしてあげる訳です。
それによって、顎の骨が楽な場所、筋肉が楽な場所へと勝手に動いていってくれます。
重症の方の場合にはマウスピースを外すと、朝「うまく噛みづらい」、「噛めない」と言う事をおっしゃられる方までいらっしゃいます。
これはまさに、普段噛んでいる場所と、顎が楽な場所が違うと言う事なんですね(^^;)。
またこのことが、顎にとって不具合の原因になっていきます。
それから、マウスピースの調整とは、そんなにすぐ出来ることではないのです。
解剖学的に、平均何ミリのところが、
● 「平均的に噛みあわせの良いところである」とか
● 「左右の歯や骨の真ん中がいい場所である」とか
学術的にそういう理論は確かにあるのですが、先ほどお話した様に、顔で右と左が違う様に、
「下顎の長さ」「右と左」 「角ばった所から関節までの骨の長さ(右と左)」 「関節の形(右と左)」
これが個人差があって、本当にみなさん違うのですね。
まさに、人それぞれ、です。
さらに歯が磨り減ってしまって左右の骨の長さが違ってしまっている方までいらっしゃいます。
つまり、右と左の骨の長さは、違うという事なんですね。
こういったことを全く無視して、いわゆる歯並びをとにかく美しく、上の歯と下の歯の真ん中をとにかくまっすぐに、といった見た目重視の矯正治療をしてしまうと、顎の関節はいとも簡単にズレてしまいます。
「何が何でも真ん中に(正中に)!」とおっしゃる先生も多いですが、私はそのことに対しては反対です。
真ん中(正中)を基準に考えた途端に噛み合わせのバランスは見事に崩れていくからです。
ですから、私は、真ん中を合わせると言う事に執着はいたしません。
考える基準は、「顎の状態から」スタートさせます。
「見た目」重視からスタートしてしまうと、必ず全身への
故障が起こるので私はそういった治療は行いません。
歯は車と同じ、です。
車はキチンと走ってなんぼ、ですので、どんなに見た目がかっこよくてピカピカでも、
故障を繰り返して安全に走れない車は、私は作りたくありません。
左右で違うサイズのタイヤを入れて走っているようなものです。
私に関わって下さった患者さんには、「安全にちゃんと走る車」を手に入れて頂きたいといつも考えております。
次回は、顎関節症の続編と、顎関節症になってしまったらどうするか?
そして、ならないために、をお話していきたいと思います。
噛み合わせ専門歯科医院 香川県高松市歯科 吉本歯科医院
このコラムの執筆専門家
- 吉本 彰夫
- (香川県 / 歯科医師)
- 医療法人社団 吉翔会 吉本歯科医院 院長 歯学博士
噛み合わせ専門歯科。インプラント、矯正など質の高い治療を行う
香川県高松市にある歯科医院。四国ではかみ合わせ専門歯科医院の先駆け。インプラント治療に関しては世界3大メーカーのノーベルバイオケア社、スリーアイ社より、功績、実績をたたえトロフィーを授与。高度な医療を患者さんに提供するよう努めます。
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