顎関節症は顎のズレです。
つまり噛み合わせのバランスが崩れているというお話の続きです。
私の医院には、「噛み合わせ」治療を求められ全国各地から患者さんがお越しになられていますが、実際に「噛み合わせ」が原因でどんな症状を訴えられているのかと申しますと
「平衡感覚がうまくとれずめまいやふらつきがする」
「まっすぐに歩こうとしても右へ右へと歩いてしまう」
「夜眠る時に、ティッシュを口に入れないと苦しくて眠れない」
「首の筋肉が張って苦しい」
「朝起きた時に、顔に噛み締めたシワの後がくっきり刻まれている」
「首の後ろから頭の上の部分が痛い」
など、患者さんによってお体に出てくる症状はさまざまです。
私の医院では、「噛み合わせ」のご相談にお越しになられた患者さまには、事前にどのような全身症状がでているかという項目にチェックをして頂くのですが、その項目は人によっては数十項目になってしまう方もいらっしゃいます。
では、いったい「良い噛み合わせ」ってどんなものなのでしょうか?
私が考える良い噛み合わせとは、
1.「頭の骨」
2.「関節」
3.「歯の並び」
4.「筋肉」
これら噛み合わせを構成する要素が
■ 全てバランスが良い状態になっている
■ 無理な力がかからない状況になっている
これが良い噛み合わせだと考えています。
重症の患者様の場合には、全身とのバランスや寝具も非常に重要です。
顎の骨は、左右対称と思われるかも知れませんが、実は顎の骨は、左右対称ではない人がほとんどなのです。
よく美人は、右と左が左右対称になっていると言われますが、実際ほとんどの方が右と左でちょっとずつ違うのです。
また、上顎というのは、頭の骨にくっ付いていて、まったく動きません。
それに対し下顎というのは、顎関節と言われる場所でもって、頭からぶら~んとぶら下がっていて
常に姿勢のバランスをとるように動いている状態です。
それが、筋肉によって閉じられるその瞬間に、無理な力がかかる状態の場合には何が起こるかと申しますと
■ 「体のバランスが取れなくなる」
■ 「噛んだときの衝撃が頭に響く」
■ 噛める場所が悪ければ「目の上のあたりが重くなる」
そんな症状まで出てしまうことになります。
アゴには2つの大きな役割があります。
①ものを咬む、という咀嚼機能
②平衡感覚を司る、という機能
です。
特に②は、下顎部分を示します。
下顎は、人間の平衡感覚を司るとても重要な部分なのです。
噛み合わせが数ミリずれただけで、
■ どちらか一方の肩だけが上がるような姿勢になった
■ まっすぐ歩こうとしても左に左にと傾いて進んでしまう
■ めまい、ふらつきが頻繁に起こるようになる
というようなことが起こります。
これは実際に、医院へお越しになられた患者さまの口から実際に出た生の言葉です。
また、平衡感覚を司っていますので、当然、自律神経系にも大きく影響しますね。
噛み合わせでお悩みの患者さんは、同時にいろいろなお体の不定愁訴を抱えていらっしゃることが本当に多いのです。
一番多いのは「眠れない」です。
つまり、「不眠症」です。
眠れない、という状態が3日続きますと、人間は脳の中に、不安な気持ちを誘発させるような物質が出てくる、と報告されています。
単純に考えても、「眠くて眠りたいのに、眠れない、脳が休んでくれない」
という状態は人間にとって地獄の苦しみです。
人間は深く眠っている時にはじめて、起きている間に傷がついた細胞を修復する機能が備わっていますので、眠れない、という状態になりますと、当然、体の免疫機能も落ちてくるわけです。
構造医学の先生の勉強会に参加した時に、衝撃の実験症例が紹介されました。
この先生は歯医者さんではなく、お医者さんです。
私に「噛み合わせ」の重要性を教えてくれたお師匠さんのさらにお師匠さんです。
歯科医師が扱う「歯科」という分野がどれほど人間の全身に大きな影響を及ぼしているかということを
臨床実験を行っている先生です。
生物にとって「噛み合わせ」がどれほど重要なものかを改めて感じる実験でした。
犬を使っての『噛み合わせ』の実験です。
2つの実験を行いました。
①噛み合わせを数ミリ破壊する(上下の歯を数ミリ削り落とす)
②補綴物を入れる(銀歯を入れる)
この2つの実験をしました。
①は、1週間目に、右足関節が曲がり、姿勢が崩れ始めました。平衡感覚を明らかに失いまっすぐに歩けないようになりました。そして、目から涙が止まらなくなり、その後、数週間で死に至りました。
もっとおそろしいのは、②の銀歯を入れた犬、です。
1週間もしないうちに、両目の周りがヘルペスのように赤く腫れ涙を流しだしました。
そして、犬は、一週間も過ぎないうちにすっかり老けた顔貌になり、同じように両足関節が曲がり、姿勢が崩れ、平衡感覚を失い、こちらは実験を開始してから一週間後に死に至りました。
壮絶な実験ですが、これは事実です。
人間と犬は違いますが、自然界に生きている動物は、「自然界に不自然な行為」をほどこした場合には、その違和感に耐え切れず、即、死に至ってしまう、ということなのです。
4本足で歩いている犬にとってはここまで「噛み合わせ」が全身へ、そして生命にまで影響してしまいます。
この実験は私たち人間にとっても「知らなかったではすまされない」事実です。
たった数ミリ、いや、数ミクロン、歯を削っただけで上下の噛み合わせのバランスはいとも簡単に崩れます。
また、銀歯を入れるにしても、噛み合わせのバランスを考慮に入れずに口の中に入れてしまった場合にも同様に崩れます。
このことは、私たち歯科医師にとって、衝撃的な実験であり、また、歯科というジャンルが、どれほど、人間の体全体ということを考えた時に、大きな役割を担っているか、ということを改めて感じさせられます。
「噛み合わせをきちんとする」ということは、お感じになられていない方はまだまだ多いと思いますが、ご自身の体を守る上で、とても重要なことなんですね。
噛み合わせ専門歯科医院 香川県高松市 吉本歯科医院
http:/www.8181118.com/
このコラムの執筆専門家
- 吉本 彰夫
- (香川県 / 歯科医師)
- 医療法人社団 吉翔会 吉本歯科医院 院長 歯学博士
噛み合わせ専門歯科。インプラント、矯正など質の高い治療を行う
香川県高松市にある歯科医院。四国ではかみ合わせ専門歯科医院の先駆け。インプラント治療に関しては世界3大メーカーのノーベルバイオケア社、スリーアイ社より、功績、実績をたたえトロフィーを授与。高度な医療を患者さんに提供するよう努めます。
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