昔の家は親父の居場所が決まっていました。
家には必ず座敷があり、床の間や仏壇が備えられてあり、それを背にして胡座をかいて座っていると云うのが親父の居場所の定番でした。そこから殆ど動かず、用がある時は家族を呼びつける。食事も食堂に行かずオヤジの前に食卓が据えられ、そこで食事をとりました。家族の座る位置も自然と決まりそこに座ると何故か居心地の良さも感じました。
振り返って、現在新築されている住宅の間取りに親父の居場所はあるでしょうか。
まず、和室がありません。あってもゴロリと横になったり、赤ん坊を寝かせたり、親父が威厳を持って座る空間とは乖離しています。現代の間取りには親父の居場所はないのです。
これは親父にも責任がありまして、殆どプランの段階で間取りに口を出しません。「自分は帰ったら寝るだけだから間取りは嫁さんに任せている」と云うのが定番の逃げ口上です。家が出来上がって自分の居場所のないのに気づき疎外感を感じても後の祭りです。
今の親父は家へ帰ると何をするのか、本当に寝る空間があれば良いのか。休みの日はどう過ごすのか。家族とのコミュニケーションをどう取るのか。子育ては母親に任せていないか。
その当たりを考えてみると、親父の居場所が浮かんで来るようにも思えます。昔の様に定番はないでしょうが、家族ごとの親父の居場所があるように思えます。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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