早わかり中国特許:第26回 特許行政訴訟 (第2回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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対象:特許・商標・著作権

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早わかり中国特許:第26回 特許行政訴訟 (第2回)

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早わかり中国特許

~中国特許の基礎と中国特許最新情報~

第26回 特許行政訴訟 (第2回)

河野特許事務所 2013年8月1日 執筆者:弁理士 河野 英仁

(月刊ザ・ローヤーズ 2013年6月号掲載)

 

5.調解の不適用

 行政訴訟においては、調解(和解)を行うことができない(中国行政訴訟法第50条)。民事訴訟においては、当事者間の紛争解決手段の一つとして、裁判官主導の下、当事者間での調解が頻繁に行われる。しかし、行政訴訟における行政処理に関し、調解はなじまず、法律上禁止されている。

 

6.訴訟の取り下げ

 判決前に,原告が訴えの取り下げを申し立て、または、被告が行った具体的な行政行為を変更することによって原告が訴えの取り下げに同意しかつ取り下げを申し立てた場合には、これを許可するか否か人民法院が裁定する(中国行政訴訟法第51条)。

 

7.民事訴訟との関係

 特許行政訴訟が提起されている場合、対応する特許について民事訴訟が別途係属していることが多い。特許の有効無効を争う特許行政訴訟の結果は民事訴訟に大きな影響を与えるため、通常は特許行政訴訟の判決が確定するまで、民事訴訟における審理が中断されることが多い。民事訴訟における対象が、発明特許か、または、実用新型特許及び外観設計特許かにより取り扱いが相違する。

 

(1)発明特許に係る民事訴訟の場合

 司法解釈では、人民法院が受理した発明特許侵害紛争案件において、民事訴訟における答弁書期間内に被告が無効宣告を請求した場合、人民法院は訴訟を中止しなくても良い、と規定されている(司法解釈[2001]第21号第11条)。さらに、答弁書提出期間経過後に、被告が無効宣告請求を行った場合、時期遅れであるとして原則として人民法院は訴訟を中止してはならない(司法解釈[2001]第21号第10条)。すなわち、被告の無効宣告請求が時期遅れである場合は、中止しないが、被告の無効宣告請求が適時になされた場合には、中止されない場合があるということである。

 

 筆者の経験では民事訴訟は特許無効宣告請求及び特許行政訴訟とは無関係に進行し,口頭審理までは独立して行われる。ただし、裁判官が判決を書く前の段階で、特許行政訴訟の結論が出るまで審理が中止されることが多い。

 

(2)実用新型特許及び外観設計特許の場合

 実用新型特許及び外観設計特許に係る民事訴訟が継続している場合、以下の取り扱いとなる。

 

司法解釈[2001]第21号第9条

人民法院が受理する実用新型特許権、外観設計特許権侵害紛争案件において、被告が答弁期間内に当該権利の無効宣告を請求する場合、人民法院は訴訟を中止するものとする。但し、次の各号のいずれかに該当する場合は、訴訟を中止しなくても良い。

(1)原告が提出した検索報告に、実用新型特許権の新規性、創意性の欠如をもたらした技術的文書がない。

(2)被告が提供した証拠により、その使用する技術がすでに周知されていると証明するに足りる。

(3)被告が当該特許権の無効宣告を請求する際に提供した証拠又はその依拠となる理由が明らかに不十分である。

(4)人民法院が訴訟を中止してはならないと認めるその他の事情。

 

 

→続きは、月刊ザ・ローヤーズ6月号をご覧ください。

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