大学進学に必要な、親の長期的な準備(貯蓄)と子の準備(奨学金) - 家計・ライフプラン全般 - 専門家プロファイル

吉野 充巨
オフィスマイエフ・ピー 代表
東京都
ファイナンシャルプランナー

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大学進学に必要な、親の長期的な準備(貯蓄)と子の準備(奨学金)

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ライフプランと家計 収入・支出について

春のこの時期は、大学に進む方達の学費や生活費の質問が数多く寄せられます。

そこで、大学生活に必要な資金の額とそれを支える家族・本人の調達額等を纏めて紹介します。

支出の面では、なんといっても学費があります。

文部科学省の私立大学等平成23年度入学者に係る学生納付金等の調査結果に記載されている、初年度学生納付金の調査概容は、

平成23年度の私立大学(学部)における授業料は857,763円、入学料は269,481円と施設整備費187,007円を合わせて、合計1,314,251円とされています(平均値ですので進学された大学によって費用は異なります)

私立短期大学は合計1,122,406円、私立高等専門学校では73,7565円と公表されています。

また、文部科学省ホームページで確認すると国立大学の授業料の標準額は535,800円、標準入学料は282,000円で、合わせて初年度に納付する金額は817,800円になります。

翌年からの3年間(最短)、私立大学(学部)に進まれた方は、年1,044,770円の学費が必要になります。国立大学に歩まれた方は、535,800円です。

 その他に、大学生活にかかる生活費があり、自宅から通う方、学生寮に入る方、アパートなどから通う方で支出額が異なります。

下図左は、独立行政法人日本学生支援機構が発表した平成22年学生生活調査から、国立大学、公立大学、私立大学の学生の収入と支出のdataから、金額が最も多い私立大学昼間生の収入と支出(内訳:学費と生活費)を比較したものです。

学費は夫々の場合で変動は小さいのですが、生活費は自宅・学生寮・下宿アパートの順で、金額が増加します。(食費と住宅費の増加による)

生活費は、自宅生の場合で372,300円ですが、学寮生では817,100円、そして、下宿・アパートの学生は1,040,500円です。

これに学費をプラスした、自宅生1,692700円、学寮生2,060,300円、下宿・アパート生2,363,200円が総支出額になります。

 私立大学での学生生活(4年)は、自宅から通うケースで6,770,800円、これに初年度納付金と受験料等(通常30万円程度)が掛り、60万円をプラスした、総額約740万円程度の支出と推計できます。

同様に、学生寮に入る場合には、約884万円、下宿・アパートの場合には約1,005万円程度かかります。

 上記は、私立大学に進学する際の費用の目安としてお考えください。

(大学、学部、都会・市街地、住居の形態、在学期間等々で費用総額が異なります)

進路を国立大学、住居は自宅から通う際には、1,085,600円×4年間+600,000円=4,942,400円の約500万円です、

ちなみに、国立大学と公立大学の差は小さく、国立で学寮の場合の支出は、年間1,306,200円で受験からの4年間で約582万円、下宿アパートで743万円です。

これらの、必要費用とご夫婦のお子様への期待や家族・地域の環境なども含め、夫婦で十分にお話し合いになってお子様の進路を予定し、中学入学(中高一貫校)又は高校進学の際にお子様を交えて進路を決定されることをお薦めします。

 

そこで決まりました大学進学コースの資金の調達先と調達方法を紹介します、

下右図は、現況の学生生活を賄うための収入の源泉を示したものです。

資金の調達先として一番や大きなものは、家族からの給付です。また、奨学金の部分がアルバイト収入よりも多い事に気付かれたと思います。

現況は、このような姿になりますが、最初の計画立案としては、全額をご家族からの給付で賄う方法をお考えください。

前述した、費用の最高金額は、下宿・アパートから通う1,005万円でした。

この金額を全て貯蓄で賄う際には、子どもが生まれてすぐに貯蓄を始めて、収益を考えない場合には、月々約46,500円の積み立て額になります。 現在価値でこの金額さえ貯めれば、学費の心配は無くなります。

初めて、お子様を得られる事の多い30代前半30歳~34歳の勤労者世帯の収入は、426,040円です(総務省家計調査平成23年より)。従ってこの貯蓄額は世帯収入の10.9%ですので、決して無理な数値では無いことが理解頂けると思います。(総務省家計調査によれば平成23年家計収支の黒字率30~39歳31.5%です)。

ただし、この後に人生の最大支出、住宅購入とそのローン返済が控えています。可処分所得に占めるローン返済額の割合は約21%です(総務省家計調査平成23年より)

従って、月々の積立が学費だけの目的にならないケースが出ます。

その場合の、不足額への調達先として、是非加えて頂きたいのが、ご両親の祖父母です。来年から、直系卑属への教育費としての贈与の制度が変わりますが、スタートは今からでも宜しいかと思います。

毎月10,000円程度の積み立てをお願いして、家族全員で教育への参加・負担する体制を作る事をお薦めします。もし、両家から支援が受けられれば、20,000円になります。ただ、これらはお子様名義の預金として、夫婦の家計とは別管理をして下さい。

お子様が二人になれば、増額もお話し合いされることをもご検討下さい。

著者は学資保険を将来に備える手段として考えていません。

理由は、主たる稼ぎ手の死亡リスクに備えるのであれば、生命保険が適切ですし、お子様の学費分を含んだ保険金額にすることが効率的です。

また、財形や銀行預金として積み立ている場合、災害や病気等で緊急に使途が出た際に、当該貯蓄で賄う事が出来ます。家計に負担を掛けない、借入を行わないための自家保険となります。資産運用では、資金の一括管理がより効率的な運用が行えます。

このような将来確実に発生する生活のイベント費用は、定期預金・個人向け国債10年変動等元本が保証されている金融商品が相応しく、円のMMF(マネー・マネジメント・ファンド)も実績金利で市中金利への連動性が高くインフレに対応し、元本割れリスクの低い商品として対象に加えることをご検討ください。

このように貯蓄を進めても、なお、資金が不足するようでしたら、資金調達先としての奨学金をご検討下さい。

不足分としての借り入れや奨学金を検討する際の、調達順位は、1返済義務の無い給付金、2.無利子の奨学金、3.金利が低い奨学金、それらで猶不足するようでしたら、4として.銀行などの民間の学資ローンなどを検討下さい。

 

奨学金には、返済する必要のない給付型と必ず返済しなければ貸与型の奨学金があります。給付型の奨励金を多くの大学が制度として採用しています。

学業が優秀など資格条件は厳しく、人数も限られているので、受給するのは難しいのですが、申込を検討ください。志望校を選択する際に各大学のホームページでそれら内容が確認できます。

一定額を支給するもの、授業料を減免するもの、スポーツ・文化・ボランティア活動の優秀者に給付するものがあります。

 

また、貸与の奨励金を整えている大学もあり、これらの利用もお薦めします。申込時期が大学入学前と入学後がありますので、しっかりご確認ください。本年度入学者も申込期日に間に合うケースも在ります。

奨学金制度で、最も知られているのは、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金です。

下図は、文部科学省が奨学金事業の充実として、日本学生支援機構が実施している、奨学金貸与人員の年度推移です。平成24年度は、無利子奨学金を利用している学生を38万人、有利子奨学金を利用している学生が96万人、合わせて134万人予定しています。

日本学生支援機構の奨学金制度は、応募条件や家計基準が比較的緩やかな為多くの学生が利用しています。

機構の奨学金は、海外留学に向けた給付型2種類と国内の学生に向けた貸与型の奨学金があります。貸与型は、無利息の第一種奨学金と、年利3%を上限とする第二種奨学金があります。

第一種の学力基準例は、高等学校又は専修学校高等課程の最終の成績が3.5以上、貸与月額は、国公立大学 自宅通学 45,000円、自宅外通学51,000円、私立大学 自宅通学54,000円、自宅外通学64,000円のほかにいずれの場合でも30,000円も選べます。

第二種奨学金の学力基準例は出身学校又は大学における学業成績が平均水準以上で月額貸与は30,000円、50,000円、80,000円、100,000円、120,000円から選択できます。120,000円を選択した場合に限り、私立大学の医学・歯学課程は40,000円、薬学・獣医学過程は20,000円の増額が可能です。

申込は、インターネットを利用した申込(スカラネット)となり、申込時に必要書類を学校に提出し、申込に必要な識別番号をもらって、入力いたします。

在学生の採用も在ります。進学後大学に申込下さい。

日本学生支援機構以外の奨学金もあります。

地域を限定するものと地域を限定しないものがあり、地域限定には各県の育英会などが実施しているもの、また、地域を限定しないものには、企業が支援する公益法人などがあります。

給付型の奨励金もあり、様々な要件と、入学前・入学後の申込があるなど、受給は厳しいものもありますが、確認・検討されては如何でしょう。

詳しくは、学生支援機構のHPで日本学生支援機構以外の奨励金ページで確認ください。

ところで、貸与型の奨励金は個々の学生の借入金で、これは返済しなければなりません。社会に出てから返済するのですが、安易に多額の奨励金を申込しますと、返済金額が大きくなり、返済期間も長くなり、家計に悪影響を及ぼす場合があります。ぜひとも、不足分だけを補うための申込金額としてお考えください。

なお、奨学金は入学してから受け取りが開始されます。初年度に必要な受験費用や入学金は事前に貯蓄としてご準備ください。万が一不足する場合の教育ローン申込では、日本政策金融公庫が取り扱っている国の教育ローンをお薦めします。金利も相対的に低く、貸付条件も緩くなる方向にあります。それが受けられない場合に民間金融機関の教育ローンをお申し込みください。

「提携コラム」

吉野充巨 ファイナンシャル・プランナー

1945年4月4日 東京都生まれ。家業の靴卸商社勤務後、事務サプライ品商社富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社を経て2005年に退職し、2006年1月1日に独立系FP事務所を開業しました。長い人生での知見と市民後見などボランティア活動経験からライフプランの相談に与っています。保険・不動産・金融商品を販売しないアドバイスの専門家です。

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