- 塚本 有紀
- フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
- 大阪府
- 料理講師
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
3月の料理連続講座(続き)
蕪いっぱいのナヴァラン
ナヴァランとは、仔羊の肩肉の煮込み。フランスの伝統料理の一つであり、とくに走りの春野菜を使ったものは、ナヴァラン・プランタニエnavarin d'agneau printanierと呼びます。
フランスにも蕪が普通にあるということに驚かれたのか
「蕪も一緒に煮るのですね・・」
という質問がでました。蕪を一緒に煮ると、水分とともに甘みもプラスされ、おいしくなります。
「うーん、ナヴァランと言えば、いつも蕪が入っているイメージですねぇ」
と言ったところ
「ナヴェnavet(蕪)が入っているから、ナヴァランなんでは??」
と、とある生徒さん。
たしかに。かつては蕪をたくさん使ったためにこの名前になったのだそうです。辞書には「1827年にペロポネソス戦争ナヴァラン沖で英仏露連合艦隊がトルコ・エジプト軍に勝利したことを記念した名前という説もあるが、これよりももっと前から料理は存在していたので、間違い」とあります。そんなにも古くから存在する料理のようです。
蕪のほかには姫人参、新小玉ねぎ、空豆やスナップエンドウなどで春らしさを演出します。
本当は蕪やじゃがいも、小玉ねぎ、人参などは仔羊と一緒に煮込んでしまいます。素朴で温かで大らかな存在。でもせっかくの美しい野菜なので、別茹でにして添えてみました。
「ほんとはこんなんじゃ、ないんですけどね。全部一緒に煮て、もっとどかっとよそいます。今日はちょっとよそ行きのナヴァランです」
と断ります。
羊なので、ワインはボルドーはオー・メドックを。チーズはブルー・デ・コース。柔らかい牛乳のブルーです。
デザートはチョコレートのクレームに、エスプレッソのグラニテがけ。
グラニテとは、そもそもグラニットgranite(花崗岩)のように「つぶつぶ、ざらざらした」という意味です。ソルベよりも糖分を減らしたシロップで作り、あえてソルベのようになめらかにせず、ざくざく感をだすために冷凍庫で固めては砕くという作業を繰り返します。フルコースのお肉のあとによく出てきます。
グアナラ70%を使ったチョコレートのクレームは、「もうちょっと食べたい!」というギリの量でとめています。
グリオットのマカロンを添えて。
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