『ストレスの「見える化」!- 後編 -』 ◎無敗脳ヨガ道場◎ - ヨガ全般 - 専門家プロファイル

辻 良史
筑波大学発ベンチャー(株)サイバー・ヨガ研究所 代表取締役
東京都
博士(体育科学)

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閲覧数順 2024年05月04日更新

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『ストレスの「見える化」!- 後編 -』 ◎無敗脳ヨガ道場◎

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無敗脳

「火の呼吸」で一生負けない脳をつくる無敗脳ヨガ道場の辻です。

少し、間隔が空いてしまいましたが、前回の「ストレス見える化(前編)」記事の続きを明記させていただきます。

今日は結構、堅い文章ですが、お付き合いいただけましたら幸いでございます^^

さて、画像データの見方ですが、縦軸、上からそれぞれ

・眉間部分の筋肉の緊張度合

・手のひらの発汗量

・指先の皮膚温

・心拍の状態

・交感神経(赤線)&副交感神経(青線)の状態
・お腹の動き(紫)&胸の動き(橙)

を表しています。

 

どうしてこれらのデータを観察するかといいますと、これらの部位は全て、ストレスやプレッシャーがかかると変化が著しい場所だからです。

全て緊張モードの交感神経の働きによるものです。

つまり、プレッシャーやストレスを加える前後、最中の体の変化を観察することで、ストレスやプレッシャーが「見える化」できるということです。

見えると何がいいか?

自分が何に対して苦手なのかがまず分かります。

そして、ストレスが加わると特に変化が著しいところを重点的に克服することができるようになります。

今回は、1分以内に豆を40個お箸でつかんで別のお皿に移すというストレス(豆トレ)を加えました。

一回目は、とにかく個数(結果)にこだわってもらい急いで行ってもらいました。

 

二回目は、個数(結果)を気にせず、お箸を動かすことだけに集中(今ここ)してもらいました。

それぞれのデータの変化を見ていただくと明らかな違いがございますね。

急いで行ってもらう場合、眉間に力が入り、顔はこわばり、手の汗も増え、指先の皮膚温は低下します。

移動に成功した豆の数は、27個でした。

対して、「今ここ」に集中して行った場合、ストレス反応はほとんど出ていません

移動に成功した豆の数は、33個でした。

同じお箸を動かすという動作にもかかわらず、体の内部ではこんなにも顕著な違いがあります。

あっ、ちなみに、動作的な慣れを考慮して、先に「今ここ」に集中するやり方で行い、その後に急いで行ってもらう場合でも同じような変化の違いが出ます。

頑張って急いでやろうとするとかえってパフォーマンスが低下してしまうのですから、今一度、今までの頑張るやり方、根性論を根本から見つめ直す必要があるといえます。

練習量の多さ = ここ一番での強さ

ということです。

練習量と、ここ一番での強さはほとんど関係がありません

話を戻しますが、今回の場合、一回目のように急いで行うとお箸を動かす動作自体は速くなります。

しかし、ミスが増えます

対して、「今ここ」に集中した場合、ミスがほとんど起きません

しかも、身体が力んでいませんので、肉体的な疲労も受けにくいといえます。

試合の場合、緊張を感じる度に脳の酸素消費量が増え、結果、脳疲労が起こり、正しい判断ができなくなってしまうことが危惧されます。

ですので、ハードなコンタクトスポーツといえども、こういった自律神経や脳のトレーニングは必須といえます。

しかし、今回のように、「急いで行った場合」と、「お箸を動かすことだけに集中した場合」、なぜこのような生理学的な反応の違いが起きたのでしょうか?

それは、急いで行った場合、結果を気にするあまり、過去の失敗体験や、未来への予期不安から脳の「扁桃体」が活性化され、筋肉の働きを邪魔してしまうからと考えられています。

「扁桃体」が活性化されると、本来、運動やから筋肉に向かって信号が送られるはずが、「扁桃体」も別のルートから筋肉に向かって信号を同時に送り始めます

筋肉にしてみれば、異なった信号が同時に送られてくるのですから、どちらの指示に従ったらいいのか分からなくなり、結果、パニックになり、筋肉が硬直(イップス)してしまいます。

対して、「今ここ」に集中した場合、結果を気にしていないため、過去や未来に意識が向かわず、「扁桃体」も興奮しません

つまり、お箸を動かすという脳から筋肉への信号だけがきれいに出力されている状態です。

いってしまえば、科学的なメンタルトレーニングとは、「脳の出力コントロールトレーニング」なのです

いかに「扁桃体」を刺激せず、筋肉を動かす脳の出力だけをきれいに出すか?

この脳の出力の精度を上げていくことが「本番で負けない脳」の獲得へとつながるといえます。

そして、この脳の出力トレーニングには、ヨガが一番効果的なのです。

いろんな、ポーズを行いながら常に「今ここ」に集中する、手足を上げるときにそのターゲットとなる筋肉への出力だけを出すトレーニングです。

当然、ヨガをしているときに、今日の夕飯は何だろう?

という思考が出てきてしまっては、プレッシャー場面ではまだまだ弱い脳といえます。

また、きれいにポーズをつくることだけにこだわったいわゆるアウターヨガもメンタル強化にはほとんど効果は期待できません

脳は繰り返しトレーニングを行っていくことでパワーアップしていきます。

これからは、日本人アスリートもACミランや海外のオリンピックチーム同様に脳のトレーニングは必須項目になってくることはほぼ間違いないといます。

このスポーツ分野での脳トレ活用の流れは海外同様に日本にも訪れることが予想されますが、どのチームが本格的に採用していくのかが今後の注目といえますね。

 

P.S.

呼吸法を行っている時、指先の皮膚温は高い状態を示しています。

これは、リラックスモードの副交感神経の働きが高まり、筋肉が弛緩し、血管が広がり、血流が良くなったためです。

お腹の動きが緊張状態と比べ、大きくゆったりしていますね。

また、お腹が膨らむのに合わせて、心拍のリズムの山も大きくなっています。

長くなりますので詳しいことは割愛させていただきますが、これは典型的なリラックス状態で起きます。

※イスに座った安静状態での5秒で吸って10秒で吐く呼吸法です。

ストレス状態との比較のために行いました。

本日も最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。

東京都 港区 田町【無敗脳ヨガ道場辻でした。

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