「アットホームタイム」【正しい取引のために】 - 不動産購入・契約 - 専門家プロファイル

渋谷 好幸
株式会社渋谷都市開発 代表取締役
東京都
不動産コンサルタント
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「アットホームタイム」【正しい取引のために】

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アットホームタイム No.373 2012.12.20発行紙から抜粋

不利益事実の不告知により、誤認して契約したものであるとして契約の取り消しが認めらた事例

あるユーザーさんの問い合わせに下した東京地裁の判決は・・・           

 ・・・買主Xは、会社の同僚よりマンションの投資話を持ち掛けられ、平成21年2月、売主会社の担当者Yと会うこととなった。Yが「物件Aは通常3130万円であるが、会社に無理を言って2840万円で押さえている。頭金、毎月のローンの金額、家賃収入を考えると月々7359円の保険と同様であり、仮に将来売却する場合、現在の物件価格から売却査定価格が10%低下したとしても、ローン残債を返して利益が出る」などと説明したため、Xは小遣いで何とか出来るものと誤信し、契約Aを締結しました。また、物件Bも特別に2100万円で押さえていると説明され、契約Bも締結しました。ところが、Xが他会社で簡易査定をしたところ、物件Aが2000万円程度、物件Bが1400万円程度とされ、その後、不動産鑑定士からの評価も同じように低評価だったため、XはYに対し、売買契約を解除したい旨申し入れましたが、「今解約するともったいない」などと言って解約に応じてくれなかったため、消費者解約法4条1項と2項に基づき、売買契約取り消しを請求しました。

【解説】

裁判所は、以下のとおり判示し、Xの請求を容認しました。

(1)Yが提示した金額は、何ら根拠が示されていないことや、簡易査定および不動産鑑定書と比較して市場動静を加味したとしても、合理的な変動の範囲内にあるとは到底思われないことなどを考慮すると、適正な価格を反映したものとはいえない取引であったものと認める。

市場適正価格は投資をする際の重要な事項と言わなければならず、その意味でYは、契約を締結する際の重要な事項について事実と異なることを告げたものと認める。

(2)Yは、Xに対し、契約AおよびBの締結の際、重要事項である物件の客観的な市場価格を提示していないこと、家賃収入が30年以上に渡り一定であるなど非現実的なシミュレーションを提示し、Xに月々の返済が小遣い程度で賄えると誤信させた。また、Xが不動産投資を行うにあたっての不利益な事情などを十分説明していなかったなど、消費者契約法にいう、「重要事項についてXに不利益となる事実を故意に告げなかった」ため、Xはそのような事実が存在しないと誤認し、それによってXは契約AおよびBを締結したものであるから、同法4条2項による取り消しが認められる(平成24年3月27日 東京地裁判決)         

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