- 今井 淑恵
- 実用手書き塾 (有限会社 彩華 書写指導部) 代表講師
- 兵庫県
- ビジネススキル講師
対象:書道・習字
- 今井 淑恵
- (ビジネススキル講師)
- 今井 淑恵
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こんにちは、今井淑恵です。
前号につづく「紫」の表現 パート2です。
紫色は高い位の色として、宮中でも使われています。
源氏物語の作者である紫式部は藤原姓のため、宮廷では「藤(とう)の式部」
と呼ばれていたそうです。「式部省」の役人だった父親の官職と、「紫の上」
の物語を書いた人で、いつの頃からか「紫式部」とよばれるようになったとか……。
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ことのは探訪 《あれこれ!表現 ~ 紫 ~ 》
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★「紫」のつく言葉★
「紫綬褒章」(しじゅほうしょう)
……… 学術・芸術・発明など顕著な功績に対し、毎年50名くらいに授与される。
最近ではスポーツ界、オリンピック優勝者にも授与されている。
「紫水晶」
……… 紫色をした水晶。紫石英。
「紫の雲」
……… めでたい雲、瑞雲(ずいうん)、慶雲(けいうん)。また「きさき」の別称。
「紫の庭」
……… 紫は(紫微宮(しびきゅう))の意味で宮中の庭園のこと。
「紫の宮」
……… 中宮、皇后の別称。
「紫の縁」(むらさきのゆかり)
………
古今集より
「むらさきの 一本ゆえに 武蔵野の
草はみながら あはれとぞ見る」から転じて、
一つの関係から情愛が他に及ぶことの意。
●「言(こと)問はぬ 木すらあじさゐ 諸弟(もろと)らが
練りのむらとにあざむかれけり」
大伴家持(おおとものやかもち)
★もの言わぬ木でさえ、あじさいの様に鮮やかに訴えてくるものがある
のに、言葉をあやつる諸弟らの巧みな言い方やうまい言葉にすっかり
だまされてしまったことよ。
紫陽花は色が変わりやすく、実を結ばない花にかけて、言葉巧みに人を
欺く世間の様子を詠っている。
●「安治左為(あぢさい)の 八重咲くごとく 弥(や)つ代にを
いませ我が背子(せこ) 見つつ偲はむ」
橘 諸兄(たちばなのもろえ)
★紫陽花が幾重にも(八重)に咲くようにいつまでも元気でいてください。
この花を見るたびにあなたのことを思い出すことであろう。
このほか松尾芭蕉、小林一茶、正岡子規らが、あじさいの群生して咲く様子を愛でたり、
色が変わっていくのにかけて人の心の移ろいなどを詠んでいます。
ー参考資料ー
広辞林、学研「ことば選び辞典」、学研「日本語知識辞典」、
角川書店「字源」、小学館「慣用ことわざ辞典」、三省堂「例解新国語辞典」
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