オーバーローン状態の住宅ローンの返済が困難になり、ある一定期間延滞が続くと、債権者(金融機関・保証会社)はローンの残債額を一括で支払うよう催促します。しかし、住宅ローン破綻している人が一括で支払えるはずもなく、債権者(金融機関・保証会社)は抵当権を行使し、物件を差押して、最終的には不動産競売で債権を回収することになります。
その担保不動産が住宅ローンの残債務額より、高く売却出来るのであれば問題ありません。しかし、昨今の構造的不況により不動産価格は低迷を続けており、ほとんどは債権額を下回ってしまい売るに売れない状態です。しかし、債権者(金融機関・保証会社)はそのまま返済もされず売れない状態でほおっておくわけにはいきません。そこで、競売により回収したり、債権額を下回った金額での売却を認めるのです。この債権額を下回った売買のことを「任意売却」といいます。
「任意売却」とは、債権者(金融機関・保証会社)と債務者(住宅ローンを借りてる人)との合意にもとづき、 競売が行われる前に、対象不動産を一般市場で債権額を下回った価格で売却することをいいます。
任意売却は不動産競売よりも高値での売却が見込めるため、債権者にとって有利なだけでなく、債権者(金融機関・保証会社)にとっても有利な方法です。また、任意売却後に残った債務の返済についは、話し合いがおこなわれ少額返済を認めてくれる例が多いのです。この任意売却制度は、売却の際の仲介手数料や引越し費用など、任意売却に関わる諸費用も全て債権者(金融機関・保証会社)から配分として認めてもらえます。
任意売却と競売の違いについては以下のとおりです。
< 任意売却> <競 売 >
価 格 一般相場で売却可能 一般相場の20%~50%ダウン
残 債 高値での売却で、少ない残債 低い売却で、多い残債
売却期間 長く取れる 短い
引越時期 協議の上、計画的に引越 最悪は、強制退去
引越費用 債権者から出る場合あり 費用は自費負担
情報公開 債務情報の公開なし 裁判所HPや新聞広告等に情報公開
費用負担 売却代金から認められる 認められない
以上ようなことからオーバーローン状態の住宅問題の解決は、競売よりも任意売却により処理するほうが有利です。
住宅ローン破綻してしまい、オーバーローン状態であれば、通常売却は出来ませんので、慌てることなく複数の任意売却専門業者に相談して信頼のおける業者へ依頼することをお勧めします。
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