緊急投稿 「答案の見直しって、子どもにできるの……?」 その2 - 中学校受験対策 - 専門家プロファイル

岡松 高史
岡松教育進学研究所 代表
愛知県
家庭教師

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対象:子供の教育・受験

大澤 眞知子
大澤 眞知子
(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
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閲覧数順 2024年04月25日更新

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緊急投稿 「答案の見直しって、子どもにできるの……?」 その2

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前回の「その1」では、子どもたちに、ただ「見直せ」と指示を出した場合、「見直した結果、得点が『上がる』か、『変わらない』か、『下がる』かは、『偶然に近い形で決まってしまう』ことが多い」ということをお話ししました。

そのことを踏まえて、「『見直す』ことを『前提に』、試験を『5分はやく終わらせろ』『10分はやく終わらせろ』という指示を出すこと」はどういうことになるのかを言い換えると次のようになります。

 

「制限時間よりはやく解き終えろ」と指示を出せば、それは子どもにとって大きなプレッシャーになります。もともと「時間が足りない」と感じている子がほとんどですが、「はやく、はやく」の意識がより強くなります。

その結果、つまらないミスを犯す可能性が増します。つまり、一旦解き終わった時点での得点は、その子が本来持つ実力より低い得点になります。慌てさせるのですから、当然です。

そこでミスが発見されると、今度は「見直せ」という指示を出されることになります。

でも、「見直し」では、得点が「上がるか」「変わらないか」「下がるか」は、多くの場合(前回お話ししたように)、偶然に左右されることになります。

 

ですから、「『見直す』ことを『前提に』、試験を『5分はやく終わらせろ』『10分はやく終わらせろ』という指示を出すこと」は、自分で「ミスを誘発させるような指示を出して」おいて、それを「あわよくば」もとのレベル(本来の実力レベル)の得点に回復させようとしているに過ぎないと私には思えるのです。

指示を守ったがためにミスをし、それが直せないと「注意力がない」と人格攻撃をされるのですから、子どもはたまったものではありません。

「注意力が散漫になるように仕向けておいて」「ほらっ、やっぱりおまえは注意力がない」と責めているわけです。

まじめに聞く子は「自分を責めます」し、反骨心のある子は「やってられないよ」と思うことでしょう。

「得点力を実力以下に下げるような指示を出しておいて、見直しという偶然に左右される作業であわよくば実力に見合った得点に復活させる」などいう手間を子どもに喰わせるより、なぜ最初から実力通りの答案を充分な時間を使って仕上げさせないのでしょうか。

私は自分が指導している子に対して、「『見直すために』、試験時間より5分、10分はやく解き終えろ」という指示は出しません。しかし、これは「見直すこと」を全否定するからではありません(効果的な「見直し」作業については、後述するつもりです。多分「その3」になります)。そうではなく、「見直しを『前提に』、試験時間よりはやく解き終えろ」という指示を出すことのデメリットの方が、『見直し』から得られる(かもしれない)メリットに比べてはるかに大きいと考えるからです。

「5分はやく」「10分はやく」終わらせるのが正しいと信じている子には、私は「せっかく50分ある(60分ある)テスト時間を、なんで自分で短くするの?」「はやく終わらせても、ボーナスポイントは付かないよ」と言うようにしています。そして、「見直し」で本当に得点がアップするかどうか、(「その1」でお話ししたように、「じゃあ、5分あげるから『見直し』てごらん」と指示を出して)自分で確認させます。その結果、5分使っても「得点が上がらなかった子、下がってしまった子」には、「じゃあ、こうしてみよう」と「その3」でお話しする方法を教えます。

「見直しができるように、5分はやく(10分はやく)解き終えなさい」という指示を出していらっしゃる保護者の方も、「子どもを陥れ、勝ち誇ったかのように子どもを責め立てたい」と思っていらっしゃるわけでは、決してないと思います。

もともとの「子を思う気持ち」が、知らず知らずのうちに、結果的に「子どもを責める言葉にならないよう」切に願います。

 

長々と書いてきましたが、結論を述べます。

とにかく、まずはひとつひとつの問いに集中し、丁寧に解きましょう(解かせましょう)。

そして、その結果、幸運にも時間に余裕が生まれたなら、「得点を下げず、上げる『見直し』」をしましょう(させましょう)

もし、余裕が生まれなくても大丈夫です。自分なりに(お子さんなりに)充分丁寧に解いたのですから

つぎの「その3」では、「もし、幸運にも『試験時間終了前に一応解き終えたら』どうするか(どうさせるか)』」についてお話ししたいと思います。

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