- 海田 修平
- カイダ建築設計事務所 一級建築士事務所
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
住宅の設計打ち合わせをすると、建主からの要望は、
まず必要な部屋の種類と数と広さが真っ先に出てきます。
次に耐震や断熱、暑さ寒さ、キッチンの使い勝手など、性能の問題へと続いていきます。
これは住宅についてのイメージで真っ先に思いつくのが住宅=不動産屋的間取りで、
その次が住宅=メーカーの商品という構図だからだと思います。
もちろん間取り(平面計画)は必要ですし、商品としての性能も重要です。
しかし、良い住宅だと判断するファクターは他にもたくさんあります。
地盤や日当りのことも考えないといけませんし、使用される材料のこと、メンテナンスのこと、
工事の金額、周辺環境に及ぼす影響など、考慮すべき評価軸はさまざまにあります。
それなのに、不動産屋の価値基準には立地と間取りだけしかありません。
また、ハウスメーカーが作る製品としての住宅は、売れるかどうかのみを評価軸としています。
売れる住宅が良い住宅で、売れるために良い間取りを考え、高性能を売りにしているのです。
「住宅は住むための機械だ」と半世紀以上前にコルビュジエが言いましたが、住宅は機械ではないです。
機械は機械そのものの性能によって価値判断がなされますが、
住宅は建築の性能だけで判断されるべきではないからです。
座った場所からどんな風景を楽しむことができるのか、
建物内部においてどんな空間体験がなされるのか、
それは平面的な間取りだけでは判断できませんし、建物の性能とは全く関係ありません。
住宅にとって本当に大切なのは、住む人がどれだけ楽しく、
豊かで幸せな生活を送ることができるのかという評価軸です。
使い勝手や性能には限度がありますが、住む人が送る日々の生活に幸せの上限はありません。
住宅は、人が人生を送る舞台です。家族が成長していく物語の舞台です。
舞台において重要なのは、主人公である家族が活き活きと豊かな生活を送る場所を用意することなのです。
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