もちろん敷地形状と法的条件も異なる訳ですから、一つとして同じ答はありません。
我々の仕事は、その条件を予算と照らし合わせながら具現化するわけですが、ここでは「調布の住宅」の事例を基にお話をしたいと思います。
まず敷地は、比較的に交通量の多い西側道路に面していて、道路面より1.8mほどレベルが高くなっています。
クライアントからの主な要望は、第1に来客が多いのでなるべく車が多く駐車(3〜4台)できる事、第2にそのお客さんがくつろげるリビングと食堂が充分確保されている事、そして第3に家族全員4人の個室と近くに住むお父さんのための個室、計5つの個室を用意する事などでした。
我々の出した答は、まず敷地から土を抉り取り、周囲に土圧を受けるコンクリートの壁をまわし地下1階に駐車スペースを確保しました。
そして、その壁の上に要求されている住居スペースを鉄骨で組んで載せました。しかし、ただ四角い箱を載せただけでは窓の開口部が外側に向き、プライバシーが確保されません。そのうえ道路側に開口部を設けると西日が強く入り、住環境が悪くなる事が予想されます。
そこで、我々は住居スペースを二つに分けv字型に裂いて間にテラスを設けました。そうすることで、二つにに分かれた一つには広いリビング、もう一つは友人が集まって楽しめるくらいのダイニングキッチンが確保でき、間に挟まれたテラスを通して自由に開放することが出来ます。
また、二つに分かれたスペースにはそれぞれ階段が設けられており、2階の個室にスムーズにアクセスし住居の中を自由に回遊する事が出来ます。
そして全ての居室が内側のテラスに向かい、外側には必要最低限の窓しか計画していないため、明るく開放的ながら近隣や道路側からのプライバシーを守れる健康的な住宅が提案出来ました。
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このコラムの執筆専門家
- 納谷 学
- (神奈川県 / 建築家)
- 納谷建築設計事務所 主宰
家は住む人のもの。芸術でも、敷居の高いものでもありません
日本の街並み、住環境を豊かな空間に変えたい。建築が出しゃばることなく住む人のための住宅を提案したい。皆さんの家への願いを最短かつ最適に適えたい。だから僕らに遠慮なく何でも話してください。住宅はあなたのものなのですから。※僕が納谷兄弟の兄です
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