- 小形 徹
- 小形 徹 * 小形 祐美子 +プロスペクトコッテージ 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
< どーん!と構えた母のようなキッチンがある、心地よさ >
古いRC造をリフォームしたこの家のキッチンは、すべてオーダーメイドでつくられた。
室内の輪郭は周辺道路や敷地の都合上、単純な矩形ではなく不整形なものだった。
そのため室内にまず基準となる軸、つまり空間を構成する基準線としての
出発点が必要だった。それがこのキッチンである。
このキッチンの配置を基に、室内の様々な部分が組織されていく。
そんな役割が与えられた。
そして空間秩序の出発点としてだけでなく、「どーん!と構えた」母親のように、
家族の暮らしの基準になっていることも重要な点である。
キッチンの甲板はステンレス製、料理好きの建主のためにガスコンロとオーブン、
そして食洗機がビルトインされている。手前には冷蔵庫が収納されるスペースがある。
室内側との境には準備中の手元が見えないように小さな壁を設けた。
この高さはワインのボトルがちょうど隠れる高さになっている。
背後には長いカウンターが設けられ、その下部はすべて収納である。
このキッチンと玄関ホールは引き戸でつなげられている。
玄関から直接キッチンに入ることができ、キッチンからダイニングへ、
ダイニングから玄関へ。これにより、行き止まりのない、ぐるっと回れるプランになった。
空間と暮らしに、秩序と流れを生み出すキッチン。
この部分がしっかりしていると、後はそれにならって組織化されていく。
そんな母親のようなキッチンがあることが、
この住まいの<心地よさ>の理由なのかもしれない。
大田区山王 H 邸 / スケルトンリフォーム / RC造5階建て建物の4階部分
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