- シェシャドゥリ(福田)育子
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Sさんは心理学を共に学んだ仲間です。
彼女は アドラー心理学の基本概念の一つ「人の行動にはすべて目的がある。」と、「性格形成の理論」がとても気に入っているそうです。彼女が半世紀近い人生の人との関わりで腑に落ちなかったことが「行動の目的」から見ると 納得が行く、と。
彼女は戦前の教育を受けた両親に育てられた方です。「能ある鷹は爪を隠す。」とは 彼女のお母さんの口癖のように彼女に言い聞かせていたそうです。彼女がその言葉を記憶されている、ということは彼女自身自分の能力をひけらかす方ではなく 自分から目立つ存在になりたいと思ってはおられないことが推測できます。
彼女によると 自分が争うつもりがなくても対抗的な態度で彼女に接してきた方がこれまでの人生で何人かあったそうです。アドラー心理学を学ぶ前から そうした方々は「長女」という立場であったことに気がついていました。何故だか分からないけれど 長女の人達とは合わない、と。
アドラー心理学では きょうだい順位も大きく人格形成に影響を与えるとしています。きょうだい順位、年齢差、性別も見ますので 簡単に長女、長男だから 第一子の性格、とは言えません。たとえば 二人姉妹の長女でも 二女との年齢差によって解釈が変わってきます。
例1. 長女 8才、二女1才
例2. 長女 3才 二女1才
例1. は 年齢差が5才以上あるため 二つの小グループに分けることができます。長女は一人っ子的長女、二女は一人っ子的二女の性格を形成します。例2. は 年齢差が5才未満ですので 一つのグループとして見ることができ、長女、二女共典型的なタイプになるであろうと予測出来ます。
3人姉妹の二女であれば 年齢差が近い場合、例2の二女とは異なり、中間子となります。このように 年齢差、性別、さらには死産、流産、死亡した子どもの存在などもきょうだい順位の中に加えて分析します。
年齢が近い同性の二人の子どもは 大抵 全く正反対の性格を示します。これは 親、特に母親の関心を求めて子どもが態度を決めることに起因しています。第1子がおしゃべりであれば 第2子は無口になり、第1子が無口であれば 第2子はおしゃべりで冗談を言うお笑い系である、というようになります。
話をSさんに戻します。Sさんが出会った人で 長女であった方達との関わりです。
Sさんの元の夫の弟の妻、Sさんの義理の妹Hさんは 年齢差の小さい妹のいる長女だったそうです。年齢差の近い同性のきょうだいのいる第1子は 自分が上の立場である、という気持ちを持って育ちます。学校に行っても社会に出ても その気持ちは持ち続けています。ですから義理の妹Hさんにとって Sさんの存在は彼女の人生で経験したことが無い、目の上のタンコブ的なものであった可能性があります。
Sさんの家庭が不和であると知って 初めて義理の妹Hさんが彼女に話しかけてきたそうです。
「お姉さん、離婚なんて簡単ですよ。紙切れ1枚のことですから。離婚した方が良いですよ。一緒にいるなんて 時間の無駄ですよ。」
Sさんは Hさんが離婚経験者であることは知っていました。しかし 子どもが居ない時の離婚でした。Sさんには 当時小学生と中学生の二人の子どもがいて その上 夫の仕事を手伝うために安定した仕事を手放していました。そのような状況を全く考慮に入れることなく 離婚を提案してくる義理の妹Hさんの言葉の意図が理解できなかったそうです。
きょうだい順位、行動の目的を学んだ後、Sさんは義理の妹Hさんの言葉の意味を理解することができ、すっきりしたとのことでした。
このように 人を理解するには その人のきょうだい順位も手がかりになります。人を理解できると 感情を鎮めることも可能になります。
人格形成の要素は次のようなものがあります。
1. 親の養育態度(甘やかし・放任・民主的など)
2. きょうだい順位
3. 家庭の経済的、社会的地位
4. 本人の健康状態・容貌
5. 自分の性をどう捉えているか。
そして これに幼いころの思い出が加わります。きょうだい順位とこどもの頃の思い出で 人の性格ができる、というわけです。
指示、命令的な人が身近に居られて腹が立つことがあったら「もしかして 第1子???」と推測してみるだけで 少し気分が楽になるかもしれません・・・。
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