施主力をつける！_3　〜「覚悟」の具体例〜

こんにちは！暮らしをデザインする建築設計事務所_MKデザインスタジオの柿本美樹枝で

「施主力をつける！」シリーズの最終章続きです。

最終章では、施主力の具体例（実例）をご紹介しています。

前回は、「想い」(家のイメージ)実現の具体例でした。
本日は、前回に引き続き、H邸のこの場所に住むという「覚悟」の具体例を説明します。

敷地は、造成敷地です。申込多数の場合は抽選という方法で
販売時に、区画が数区画ありました。

真四角で日当りの良さそうな南側の土地から、
南側に擁壁があり、平坦な場所に比べると、変形したもの
日当り条件の劣るものまで、面積も大小様々。

当然、敷地条件の良いところは、価格も高いですし、人気もあります。

その中で、購入可能な予算と実現したい家のイメージが出来る場所を選ぶのに、
かなりの覚悟を要しました。

人気のところに申し込めば、抽選で外れる可能性は大。
また、家の方の予算が減ってしまいます。

最初、いろいろな土地をご覧になって、ご家族の中では、
条件の一番良いところに申し込むつもりでいらしたそうです。

ただ、比較的安くてに入る土地も気になる。
そこでどのような家が建てられるのか、出来れば建物にも予算を掛けたい。

そこで、その中から土地の金額が抑えられていて、かつ工夫すれば自分たちのイメージする暮らしが実現出来そうな場所をピックアップして、土地購入の前に、設計シュミレーションを行いました。（写真は土地の事前調査の様子）

それが、案外いけるではないか！ということになり、申込。

結果は、オンリーワンで当選。夢をかたちにする住まいの実現です。

ここで、大きなポイントは、土地選びの段階から検討したことです。

もし、一番人気の競争率の高い土地に応募していたら、まだ賃貸生活が続いていたかもしれません。

現在は、小さいながらも緑の庭から入る風の心地良さ、
木の仕上げの柔らかさに、もうマンション暮らしには戻れないとおっしゃいます。

もちろん、限られた予算ですから、完璧に何もかも実現出来た訳ではありません。
駐車スペースは確保出来ましたが、地下車庫は実現出来なかったものの一つです。

車庫の単価と住まいの単価を比べたら、車の家の方が高くなるのです。
設計者としては、ご家族が過す場所にその費用を掛けた方が得策ではないかと提案しました。

建築家は、アドバイスをします。アイデァも出せます。
しかし、結論を出すのは、費用を出す施主なのです。

ひとつひとつ、一緒に悩みながら、そして時には意見もぶつかり合いながら決めていきます。
その中で、本当に選択と決断の連続の施主さま。

やはりそこには施主力があると思います。

この仕事でいつも感心し、そして尊敬するところです。

次回は、住まいを実現した施主の方からのメッセージをご紹介します。お楽しみに!!