これらのアレルギー性疾患は上記のように、いずれも近年増加傾向で、しかも特定の年齢層を逸脱し、より広い世代にみられる病気になりつつあります。これらの病気が増加し広がりを見せているのは、とりもなおさず「アレルギー」という現象がいかに蔓延してきているかを物語っています。
そしてそのアレルギーが蔓延した根本的な原因を追究し、有効な対策を打ち出すことがもし出来れば、これらアレルギー性疾患を軒並み減少させ、決して恐るる足らない病気とすることが可能になるかも知れないのです。
それでは現代に於いてアレルギーが蔓延している原因とは、いったい何でしょうか?それには先ず、そもそも「アレルギー」とは何か・・そしてその前に、アレルギーの前提となっている人体の「免疫システム」とは何か・・を理解することが大切です。
人類を含む動物は、細菌やウイルス、寄生虫などの病原菌の侵略と常に戦ってきました。現代の日本人にはピンと来ないかも知れませんが、昔の人類はいつも「感染」の危機にさらされて暮らしていたのです。そこでは免疫システムによる細菌などの駆除が何よりも重要な課題でした。
細菌などの外敵が体内に侵入すると、マクロファージやT細胞、B細胞などの免疫担当細胞群が協調して外敵の駆除に当たります。その際、一度侵入した外敵に関しては抗体が産生されて免疫記憶が成立し、二度目の侵入の際には急速な防御体制が敷かれて感染を未然に防ぎます。これが「二度かかりなし」の仕組みで、ワクチンはこれを応用した予防法です。
その「抗体」という物質はB細胞から産生されてターゲットの細菌などに付着し、T細胞などによる攻撃を受けやすくします。いわば外敵の目印の役割りを果たす訳です。正常な状態では抗体もT細胞も、外敵を攻撃する一方で自身の体の組織は原則として攻撃しません。
つまり正常に免疫システムが作動している限りは、外敵である細菌などを攻撃して身を守るのであり、体に害のある現象は発生しないのが原則です。それでは花粉やダニ、食物などによって、何故アレルギーといった有り難くない現象が発生するのでしょうか・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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