- 伊藤 健之
- ユー・ダブリュ・コンサルティング 代表
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
どうしたらできるのでしょうか?
大企業で働くKさん(30代女性)の事例が参考になりそうです。
まずは、彼女がくれた手紙を紹介しよう。
伊藤さん、こんにちは。
私たちは仲間でしばしば集まってミーティングをやっています。
仕事をカイゼンするための自主的なミーティングです。
「この活動に上司も巻き込んでいきたいよね」。
最近、こんな声が上がるようになってきました。
私たちには巻き込みたい女部長(Aさん)がいます。
普段は気難しく、とっつきづらい女性なんです。
その上司は、私たちと同じように異業種から、かつ、未経験の管理部門へと
中途入社し、今ではマネジメント職まで昇りつめた人なので、その勉強の
課程が参考になるだろうと、みんなで考えたんです。
さて、どうやったらA部長を巻き込めるんだろう?
正直に言うと、個人的には依頼したい方ではなかったのですが、仲間とそん
な話しになったので、ダメモトで声をかけてみることにしました。
「Aさんが今までどうやって勉強してきたか、是非教えてくださーい」
「今、何を勉強しているか、どうやって時間を使って勉強しているか教えてください」と。
この上司は、基本的には、なかなかとっつき難い、難しい上司ではありますが、
資料まで作って喜んで講演してくれました。
話の内容は
・自己啓発と自己研鑽の違い
・Aさんにとっては、この会社で働いていることが自己啓発
・勉強と業務を分けずに、業務の中にこそ学びが沢山ある
・業務に活かせる、明日役に立つ事を勉強する(簿記、財務系)
・お客さんから、今すぐに分からない内容の宿題をもらい、とことん突き詰めて調べて学ぶ。
→その手のスペシャリストになれる。
・現在は、週末英会話に通っている。
大まかにはこんな内容でした。
学びを押し付けるようなことはなかったと思います。
ただ、「仕事の中に学びがある」
そういう風に向かっていけると良いんだろうな、と思いました。
サラリーマンとしてワクワク働く上で、一つキーワードかなと思いました。
その日は、司会を他の人に任せたいほど嫌でしたが、やってみたら、お願いしてやってもら
ったら、こんなに喜んでやってもらえて、みんなとも距離が近くなって、別の印象をもつことが
できて一石三鳥くらい得ることができました。
上司のAさん、今では毎回ミーティングに参加してくれているんですよ。
少し近くなれた気がします。
こんな感じで、これからもいろんな上司を巻き込んでいきたいと思っています。
(お手紙おわり)
解説
「現代人は認知に飢えている」
といわれます。これは上司も部下も変わりません。
この事例のように「ひとを認知する場」をつくってあげればいいのです。
「普段は数字や管理にうるさい女上司」
でも、これは彼女の立場がつくった「ひとつの人物像」にすぎません。
この事例のように「私たちの頃(30代前半)に考えていたことに興味があります」なんて
部下から言われたら、「自分の話なんかで参考になるんだったら・・」なんて言いながらも、
喜んで協力してくれるものです。
「上司も嬉しい」「自分も勉強になる」「上司との心のキョリがグッと縮まる」
お手紙に書かれているように一石三鳥だと思います。
こうした「認知の場」をつくって、上司に声をかけてみるだけです。
簡単にできます。
ぜひ、やってみてください。