- 森岡 篤
- 有限会社パルティータ 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
イニシャルコストとランニングコストの相関関係
多くの場合、ランニングコストを下げようとすると、イニシャルコストが上がります(負の相関関係)。
光熱費を例にとると、
2005年に出版された「自立循環型住宅への設計ガイドライン」(国交省監)によると、現在の省エネ技術用い、自然エネルギー活用し、熱負荷和らげ、断熱高め、省エネ機器を使うことで、2000年ころの標準的な住宅のエネルギー消費量を半減することが可能ということです。つまり、電気、ガス代が半分で快適さを維持することができます。
省エネの家をつくり、省エネ機器を使うことで、光熱費は下がりますが、建物工事費、設備機器費のイニシャルコストは上がります。
前回のケーススタディで、省エネ化してイニシャルコストが200万円アップし、光熱費40万/年が半分20万/年になったとして、計算してみましょう。
前回の、寿命が20年、40年、60年の場合のランニングコスト、
光熱費/年:40万円
維持費/年:20万円
改修費/年:10万円
計/年:70万円
が、
光熱費/年:20万円
維持費/年:20万円
改修費/年:10万円
計/年:50万円
となります。
イニシャルコストが、2400+200=2600万円
ライフサイクルコストは、
20年:LCC=3700万円
40年:LCC=4700
60年:LCC=5700
となり、
年間あたりのコストは、
20年:負担額=3700/20=185万/年
40年:負担額=4700/40=117.5万/年
60年:負担額=5700/60= 95万/年
前回の
20年:負担額=195万/年
40年:負担額=132.5万/年
60年:負担額=111.7万/年
とくらべ、イニシャルコストが200万円アップしても、負担額は下がっている(長く住む程安い)ことがわかります。
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