米国経済09年7・8月号 - 保険選び - 専門家プロファイル

山本 俊樹
インテグリティ株式会社 
ファイナンシャルプランナー

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対象:保険設計・保険見直し

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米国経済09年7・8月号

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  1. マネー
  2. 保険設計・保険見直し
  3. 保険選び
やさしい経済の話し 米国経済の話し

景気対策の効果を見極める時期


GM初めとした自動車産業も方向性が定まり、早くも政府を大株主とした再生会社がスタートした。
米国においても、思い切った財政出動による各種救済策により景気の底が見えつつある。しかし、そのスピードは緩やかで、まだまだ不安材料を抱えており微妙なバランスを保ちつつ何とか前進しているといったところである。

6月の連邦市場公開委員会(FOMC)では、「経済の縮小のテンポは減速」「金融市場の状況も改善」として着実に沈静化しつつあることを強調しているが、金融政策については少なくとも今年中の変更はしないとの慎重な姿勢を示していることから、完全の底打ちして回復基調になるにはまだ時間がかかるとの見解を示しているものと思われる。

個人のバランスシート調整と雇用環境が今後の大きな懸念材料に


今アメリカの抱える最大の懸念材料はやはり家計部門の調整圧力である。これは、1.個人のバランスシートの改善と2.雇用環境に分けることができる。

アメリカのGDPの大きな比重を占めるのは個人消費である。今までのアメリカ人は、借金をしてもほしいものは購入するという習慣があった。カードの借入残高は増え続ける一方で、個人の貯蓄率は非常に低い水準に抑えられていたのである。それが、この金融危機の後からは、個人の貯蓄率が増え続けている。5月の個人貯蓄率は6.9%まで上昇。米国の家計部門は住宅ローン初め3兆ドル程度の過剰債務を抱えていると見られている。オバマ大統領は住宅ローンの借り手支援策として、金利に引き下げや借り入れ条件の緩和などの政策を実施し、多くの住宅ローンが条件緩和の対象となっている。その過程において、家計部門では貯蓄率を高め過剰債務を少しでも少なくしようとする努力が行われているのである。雇用環境が厳しく収入も減少傾向にある中での貯蓄率の増加は、当然のことながら個人消費を抑え、消費マインドを冷え込ませているのである。
このように、住宅ローンの条件緩和策は、ひいては家計部門の貯蓄率を高めてしまい、景気対策の効果を帳消しにしている面もあるのである。

2番目の雇用環境については、引き続き非常に厳しい状態である。6月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比▲46.7万人と前月からマイナス幅が拡大した。非農業部門雇用者数は今年に入り、4ヶ月連続でマイナス幅が縮小してきていたのだが、再び大きく拡大してしまった。これで、18ヶ月連続で雇用が減少しており、07年12月の景気後退後では合計646万人もの人が職を失っている。
こうした雇用環境の悪化も当然個人消費を直撃することになる。
このような2つの要因から個人消費の回復力はきわめて弱く、景気全体の回復も緩慢なものになると見られる。

住宅市場は横ばい、企業部門も一進一退


さて、問題の住宅市場の動向は、全体的には底打ち感があり横ばい状態となっている。5月の新規住宅販売(戸建て)は34.2万件と前月比▲0.6%のほぼ横ばい。中古住宅販売は年率477万件、前月比+2.4%と前月に続き増加した。

企業部門の動向は、一進一退。6月の鉱工業生産指数は前月比▲0.4%と8ヶ月連続のマイナス。5月の新規製造業受注は前月比1.2%となっている。いずれもそれほど大きな変動にはなっていないが、製造業の景況感指数は6ヶ月連続の上昇となり、実態の経済活動に大きな改善はないもののマインド的には回復の兆しが見えてきていると言える。

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