このような分野は、人間の食事内容や食材、調理法、調理器具などに関する歴史的変移を探求するのはもちろん、人間の「健康」や病気の「予防」といったテーマに対しても、重要なヒントや解決策を提供してくれることがあります。人間が病気になるのには「理由」があります。また或る時代の或る人間集団に、特定の病気が蔓延した場合には、その集団の「食生活」に大きな問題が発見されるケースがあるのです。
例えば近代以降の先進国に糖尿病が増加してきた原因は、食材や調理方法の変遷といった歴史的事実とは無縁ではないのです。近代以降の西洋には「砂糖」が入り込みました。中世まではゼイタク品だった砂糖は、英国や米国などによる大規模なプランテーションによって、庶民にも安価に手に入る食材になりました。これに加えてガス調理による柔らかい食事が一般的となり、糖尿病や肥満などの増加につながったのです。
中学生の頃、豊臣秀吉の「干し殺し」の逸話をある書物から知りました。戦国時代に全国を統一した豊臣秀吉は智略に長けた武将です。頭のいい彼は、何とか血を流さずに戦争に勝つ方法を常に考えていました。ある豪族の城を攻めていたとき、彼は兵糧攻めにしました。1ヶ月に及ぶ包囲の後、敵方は投降してきました。城内に食糧が尽きてしまい、兵がみな飢えてしまったのです。
捕らえられた敵の武将は「何とか兵たちの命だけは助けてくれ・・」と命乞いしました。それに対して秀吉は「大丈夫!お前たちを助けてやる。腹いっぱい飯を食え」といって、兵たちにたっぷりのご飯を食べさせました。そうすると、2,3日以内に兵たちはことごとく死んでしまいました。これは何も秀吉が毒を盛った訳ではありません。ちゃんとしたご飯です。ただし・・ご飯といっても「白米」で、おかずは一切なしです・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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