- 石橋 大右
- 株式会社和上ホールディングス 代表取締役
- 大阪府
- 住宅設備コーディネーター
対象:住宅設備
- 松林 宏治
- (住宅設備コーディネーター)
- 松本 秀守
- (住宅設備コーディネーター)
今や飲み物を入れる容器といえば缶や瓶よりもペットボトルが主体です。破損しにくいですし、仮に破損したとしても危なくないので広く利用されています。
しかしペットボトルは石油由来の資源を使って作られるので、ポイ捨てをするとやがて海洋汚染の原因になりますし、安易に焼却すると有害物質が出てしまいます。使い勝手のいい素材なのですが、使い終わった後の処理が課題でした。
そこでペットボトルはリサイクルするべきという考え方が出てきました。今や私たち日本人は「ペットボトルはリサイクルするもの」という認識で利用していますね。私も飲み終わったあとのペットボトルはラベルをはがしてリサイクル用のごみとして出すのが当たり前になっています。
そんなペットボトルが、今や争奪戦になっているというのです。最前線で何が起きているのでしょうか。
特に争奪戦となっているのが、家庭から出されるペットボトルのごみです。家庭から出されるペットボトルごみはラベルがはがされて、さらに意識が高い人は中をすすいで洗った状態で出されているので、再資源化をしやすいとのことです。
従来のペットボトルリサイクルというと化学繊維になったり、スーパーで使われているトレーになったりといったところでした。しかし今では水平リサイクルといって、ペットボトルがペットボトルに生まれ変わるリサイクル技術が浸透しています。
この水平リサイクルのすごいところは、一度使ったペットボトルを何度もペットボトルとして生まれ変わらせることができる点です。リユースはガラス瓶などを何度も使うので環境負荷が低いことで知られていますが、ペットボトルは使い捨てであるところにメリットもあるので、リユースには適していません。しかしながらリサイクルで違うものにしてしまうと、その後のリサイクルができません。そこで水平リサイクルで半永久的にペットボトルとして再資源化する考え方が生まれたわけです。
この技術、実は日本が先行しています。
もともと日本はリサイクル意識が高くペットボトルだけでなく再生紙なども広く普及しています。「もったいない精神」でモノを大切にする文化は、こういうところにもしっかりと息づいています。
飲料メーカー各社は水平リサイクルの普及に向けて、さまざまな取り組みや発信をしています。サントリーは2030年までにペットボトルの素材を植物由来のものにして、しかもその水平リサイクル化を達成するという目標を掲げています。2022年の時点ですでに達成率46%というのですから、かなり現実味のある数字です。すごいですね、さすがサントリー。
まだまだ水平リサイクル率は業界全体で20%程度なので、これからが勝負です。家庭から出されるごみは状態が良いので水平リサイクル率が高いそうです。それ以外のところで出されるペットボトルについては、中身が残ったままだったり、ラベルがはがされていなかったり、何か別のごみが入っていたり(吸い殻など)と、なかなかリサイクルできない状態なんだそうです。
特に自動販売機の横にあるペットボトル入れや、高速道路のサービスエリアにあるごみ箱などから出されるペットボトルはリサイクル率が低いんだとか。確かに、そういうところでペットボトルを捨てる人は再資源化をあまり意識していないようにも感じます。
ペットボトルの捨て方で、未来が変わると言っても過言ではありません。日本が強みを有している技術だけに、日本が世界に先行してペットボトルの水平リサイクル100%を目指そうではありませんか。
ラベルははがして、中を軽く洗う。これだけで未来が変わります。
このコラムの執筆専門家
- 石橋 大右
- (大阪府 / 住宅設備コーディネーター)
- 株式会社和上ホールディングス 代表取締役
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