- 今井 大輔
- 注文家具屋 フリーハンドイマイ 代表取締役社長
- 神奈川県
- キッチン・インテリアデザイナー
対象:オーダー家具・装飾品
- 今井 大輔
- (キッチン・インテリアデザイナー)
- 今井 大輔
- (キッチン・インテリアデザイナー)
私はこの仕事を始めて今年で15年になるわけですが、父が始めた仕事なので当時は家を手伝うくらいの軽い気持ちで望んでいたのですが、はじめてみると、やはり手を動かして物を作っていくと言う事がとても楽しく、また当時は店舗の什器ばかりを製作していることもあって、毎回変化に飛んだ家具作りが楽しめて毎日大変でしたがワクワクしていたのです。
しかし2年くらい経つと、慣れが出てきて、誰もが抱く「このままでいいのかな。」と言う一丁前の台詞が頭に浮かんだのでした。元々華やかな職業ではなく、まだ今のようにインテリアショップやオーダー家具が身近じゃなかったので、朝から夜遅くまで粉まみれで地味な毎日に飽きてしまったのでした。
その時、ちょうど以前より話に聞いていたインテリアの学校のことを思い出し、家具作りだけではなくデザインの勉強もして、この仕事をもっと良い方向に広げてみたいと思い、さっそく夜間部に入ったのでした。本当は、「デザイン=格好良いものを作る華々しい仕事」と言う横文字の仕事に単純に憧れていただけでした。
ここではいろいろ学ばせてもらい、結果、私が得た気持ちは、「デザインにはとても独りよがりな面がある」ということでした。
必ずしも正解がある学問ではなく、あるときは主観的で、あるときは客観的な感性に基づいてできている学問ですので、一体何が良いデザインで何が悪いデザインか分からなくなり、入学まもなくは勉強が魅力的でおもしろかったので、やっぱり学校を卒業したら、家具作りじゃなくてデザイン事務所で家具の設計をするんだ、なんて変に意気込んでいたのに、卒業する頃には極度に「デザイン」と言う言葉やそれを取り巻く状況に嫌気が指して、相変わらず家具製作の仕事に戻ったのでした。
それからまもなく、仕事は時代の移り変わりとともに、商業施設から集合住宅や個人住宅にシフトしていったのです。当時は、コーディネーターさんから一戸建てやマンションに入居される皆さんの家具の仕事を頂いて、家具を製作・取り付けするという作り手側に専念していたのですが、ちょうどその頃、インテリア・家具の爆発的ブームがあって、意外と安易なコーディネートや設計を頂いてしまうことが多くなり、家具がきちんと納まらないことが度々あったのです。それは、良くないことだったのですが、今思うと結果として良かったのかもしれません。
コーディネーターさんや設計を担当される方には、「私たちが直接お話しを伺います。」と伝えて、打ち合わせに同席させて頂き、ダイレクトに要望をお聞きすることができるようになり、また家具が必要と思っている人はどんなことを思っているのかを知る良い機会となりました。
そして、自分たちで現場に出向いて採寸をして設計を行うことできれいにスムーズに納まる家具作りができるようになり、良い方向に向かっていったのです。
そして、次第に直接家具を使いたいと望む方からお仕事を頂くようになったのです。その頃からですね、ようやくデザインってどんなものかって分かり始めたのは。
こうやって中身のある経験をさせて頂けたことで、家具のデザインとはどういうものを指して、家具製作者は何を求め、何を与えていくかが何となく分かり始めたのです。
それから、ここ数年でようやくあの時学校で教わったことが分かってきたような気がします。
入学当日に、私たち生徒を前にして校長先生がこうおっしゃっていました。
「お茶碗にも夏茶碗や冬茶碗と言うものがあってね・・。」
今だからようやく分かってきました。
まだまだ、勉強しなくてはいけないことが沢山です。
注文家具屋 フリーハンドイマイ
ブログ「自由な手たち」
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