- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
こんにちは!介護経営コンサルティング・介護施設紹介「株式会社アースソリューション」の寺崎でございます。
2021年度介護報酬改定の中で、今回は予防支援について取り上げます。
介護給付費分科会において、特に議論が熱を帯びた内容の一つに、この「予防支援」があります。
予防支援は、地域包括支援センターが本来担うサービスです。
しかし、地域包括支援センターは慢性的な業務過多が問題になっており、本来担うべき予防支援の多くを、居宅介護支援事業所に委託している現状があります。
ところが、委託があまり進まない。
その理由は簡単です。
報酬が安すぎるためです。
スムーズに委託を進めるには報酬アップが急務であると、分科会の委員からも意見がたくさん出ていました。
このような背景から、今回報酬アップは既定路線となっていました。あとはどれ位アップするのかが焦点で、私も楽しみにしていました。
しかし、先日公表された報酬案を見て、私ががっかりしてしまいました。
内容は、
・予防支援の基本報酬が「431単位→438単位」に増額
・「委託連携加算」なるものが新設される。単位数は300単位で、地域包括支援センターに対して加算が適用される(居宅介護支援事業所ではない)。算定は初月のみ。
以上です。
この程度の改定内容で、果たして予防支援の委託は推進されるのでしょうか。
甚だ、甚だ疑問です。
基本単位はわずか7単位の増。私は20~30単位は増えるかなと思っていたのですが、甘かったようです。
また委託連携加算も、居宅介護支援事業所において算定できるものかと思ったら、対象は地域包括支援センターです。しかも、算定できるのは初月のみですよ!
この内容で、居宅と包括とで配分するわけですから、包括から委託を受けた場合、居宅介護支援事業所の増収分は月にわずか60円程度です。飲み物もまともに買えない。
国は、この増額にて委託を進めてほしい、と。
私見ですが、私は予防支援の委託はこの改定で推進されるとは、とてもじゃないが思えません。
増額されたこと自体は喜ばしいことですが、今回予防プランの報酬を増やすことの必要性を、もう少し考えて改定してほしかった。
他の事業所、あるいは居宅介護支援における基本報酬や他の加算とのバランスを考慮したのかもしれまえん。何でもかんでもうまくはいかないというのも、当然理解しています。
しかし、わずか7単位の報酬増で、予防プランの委託は十分進むとは思えないのです。
正直いって、あきらめた方がよい。少なくとも、今回の報酬微増で委託が画期的に進むとは思わない方がよい。
そう思ってしまう位、今回の予防支援に対する改定には、がっかりさせられてしまいました。
居宅介護支援事業においては、基本報酬も結構上がり、加算も新設されました。
どのサービスでも同様ですが、居宅介護支援も事業所が取り得る最上位の加算を算定し、できればICT導入や事務員配置(これは難しいかも)をして逓減制の特例を受けつつ、増収増益を目指してほしいと思います。
このコラムの執筆専門家
- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
このコラムに類似したコラム
災害対策 寺崎 芳紀 - 経営コンサルタント(2021/02/17 08:00)
科学的介護③ 寺崎 芳紀 - 経営コンサルタント(2021/01/31 08:00)
科学的介護① 寺崎 芳紀 - 経営コンサルタント(2021/01/29 08:00)
介護の記録や帳票のデータ保存可能に 寺崎 芳紀 - 経営コンサルタント(2021/01/22 08:00)
介護報酬改定のQ&A 寺崎 芳紀 - 経営コンサルタント(2021/03/06 18:03)