- 山本 俊樹
- インテグリティ株式会社
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
- 吉野 充巨
- (ファイナンシャルプランナー)
- 吉野 充巨
- (ファイナンシャルプランナー)
地震後の大津波により震源地よりも大きな被害を被る日本
日本は、世界金融危機の影響を相対的には大きく受けていないと見られていたが、1月28日に国際通貨基金(IMF)が発表した2009年の成長見通しで日本は前回見通しより2.4%も下方修正され、20か国中17位まで落ち込んだ。
2008年までは、いざなぎ景気を上回る長期成長を続けてきた日本経済であるが、その内容は、外需に依存した成長であり、内需はデフレスパイラルに苦しめられ、小売業などの消耗戦が続いて結局は内需はほとんど牽引役ではなかった。
その証拠に、欧米をはじめとする消費の減退により、日本の輸出産業は大きな痛手を被り、輸出中心の製造業の設備投資が大きく落ち込んだことが日本の経済成長を大きく減退させる要因となりつつある。
輸出は3割減、設備投資も大きく落ち込む
12月の貿易統計によると、輸出額は前年同月比▲35.0%と2ヶ月連続で過去最大の下落率を更新した。地域的には、欧米及びアジアともに30%の減少と過去最大となって、世界的な経済危機の様子をうかがわせている。
輸出で痛手を負った製造業は、当然のことながら設備投資を大きく抑えている。設備投資の先行指標である機械受注(民需)は、10−12月において前期比▲16.7%も落ち込んだ。12月単月では、民需が前月比▲1.7%とたいした下落ではなかったが、たまたま集中した火水力原動機(前月比+116.7%)、発電機(+139.5%)という特殊要因があったからに過ぎない。加工業種からの受注は前月比▲14.1%(11月同▲30.3%)と3ヶ月連続の大幅な下落となり、前年比では▲47.6%とほぼ半減の状況である。精密機械▲22.8%、一般機械▲14.2%、電気機械▲13.7%、自動車工業▲9.2%などとなっている。
製造業の急激な業況悪化により、各社は雇用の削減策を打ち出している。日産が全世界で2万人、ソニー1万6千人などなど。12月の雇用統計では、失業率は4.4%と11月の3.9%から大幅にジャンプした。失
業者は+34万人と2ヶ月連続で増加した。
製造業の業況は今見てきたように輸出の動向にかかっており、それは、欧米の経済立ち直りにかかっているといってもよい。まさに他人頼みの状況にある。
瀕死の中小企業
中小企業の状況をみて見ると、「中小企業月次景況観測」における2009年1月の景況判断指数は、24.8(前月29.4)と、前月比▲4.6ポイントとなっている。「好転」と「悪化」の分岐点である50を22ヶ月連続して下回り、3ヶ月連続で過去最低値を更新した。(2008年8月41.4⇒9月40.2⇒10月37.6⇒11月35.1⇒12月29.4⇒1月24.8と急降下している)
業種別にみると、製造業が19.1(前月23.3)と落ち込みがさらにひどくなっている。個別業種では、輸送用機械(12→14)、建設(37→37)をのぞく全業種で低下。08年8月対比で下落幅の大きい業種は、輸送用機械47→14、電気機械48→27、一般機械39→22などだ。
待望される中長期経済対策
このように世界金融危機が及ぼす日本への影響は急激に深刻化しつつある。では、今後の欧米の経済回復を待つしかないのだろうか。しかし、それでは、いつまでも日本経済は独り立ちしない。今こそ、緊急経済対策とは別に、中長期的な施策、米国が環境関連産業など将来的な経済基盤確立を図り雇用を350万人を創出するとしているような対策が必要ではないだろうか。地震の後の大津波により震源地(欧米)よりも被害が大きくなった日本を救うには救援を待っていては遅いのではないだろうか。