- 石橋 大右
- 株式会社和上ホールディングス 代表取締役
- 大阪府
- 住宅設備コーディネーター
対象:住宅設備
- 松林 宏治
- (住宅設備コーディネーター)
- 松本 秀守
- (住宅設備コーディネーター)
新エネルギーとは再生可能エネルギーのことで、代表的なものに太陽光発電と風力発電があります。
風力発電は大規模なものから、20kW程度の小型風力発電などがあり、1kWあたりの単価55円というFITが利用できるので、採算性が年に6%以上の利回りの投資対象になります。
なお、FITは20年間ですが、風力発電の元手を回収できるとされる17年を過ぎれば、利回りはぐんと向上します。
ただし風力発電にはさまざまな申請や許認可を必要としますから、そのあらましをここで紹介します。
<目次>
1.風力発電のメリットとデメリット
2.風力発電関連の申請、許認可は意外と複雑
3.風力発電事業の採算性はどうなのか
1.風力発電のメリットとデメリット
風力発電は風力を利用する発電方式で、風力のエネルギーは再生可能エネルギーとして認められ、20kW程度の小型風力発電だと、平成28年度では1 kW当たり55円の固定価格買取制度(FIT)が適用されます。
なお20kWを超える大型風力発電の場合のFIT価格は22円です。
小型風力発電は太陽光発電システムと似たような構成ですから、建物の屋上や庭などの空きスペースにも設置が可能です。
風が吹けば、太陽光発電とは異なり、夜でも発電できますから、発電時間は場合によっては1日24時間です。
風力発電のデメリットは、小型大型に関係なく、風邪が吹かないと発電しないことです。
また、吹く風が強すぎると発電機の破損ということもあり、さらにノイズの発生が周辺環境へ悪影響を及ぼすことがあります。
2.風力発電関連の申請、許認可は意外と複雑
20kWあるいはそれ以上の風力発電の設置には、さまざまな申請や許認可が原則として必要になります。
それは、立地調査関連と、実施計画に関わるものと、建設工事関連です。
(1)立地調査関連の申請と許認可
自然公園法:都道府県知事と環境省
自然環境保全法:都道府県知事と環境省
砂防法:都道府県知事・土木事業所長と国土交通省
地滑り防止法:都道府県知事・土木事業所長と国土交通省
農地法:都道府県知事と農林水産省(4ha超の場合)
農業振興地域の整備に関する法律:都道府県知事と農林水産省
国土利用計画法:都道府県知事と国土交通省
都市計画法:都道府県知事
景観条例:都道府県知事
森林法:市長村長・都道府県知事と農林水産省林野庁
海岸法:都道府県知事・(土木事務所)・国土交通省
※以上はケースバイケースで必要と不要があります。
(2)実施計画関連の申請と許認可
電気事業法(工事計画届・保安規定届・主任技術者選任届・使用前安全管理審査申請):原子力安全・保安院産業保安監査部と経済産業省
系統連携技術要件ガイドライン(系統連携協議・受給契約):電力会社
※これらに関しては太陽光発電設置でも必要ですが、実務は太陽光発電販売・施工会社が代行してくれます。
(3)建設工事関連の申請と許認可
建築基準法(建築物・工作物の建築確認申請):市町村または都道府県建築主事と国土交通省
道路法(道路占有行為の許可・承認):市町村長・土木事務所・国土交通省
道路交通法(設備と重機運搬の規制・許可):警察署長と内閣府
電磁法(無線設備の機能保護):市町村、海上保安庁、防衛省、NTTと総務省・国土交通省
航空法(航空機の航行の安全・障害防止):国交省航空局
消防法(危険物製造所等設備許可):市町村長または都道府県知事、総務省消防庁
騒音防止法(騒音規制):都道府県知事と環境省
振動規制法(振動規制):都道府県知事と環境省
※以上はケースバイケースで必要と不要があります。
3.風力発電事業の採算性はどうなのか
風力発電は小規模の20kWとそれ以上の大規模に分けられますが、1kWあたりの費用は約30万円とします。
内訳は発電タービンと電気設備、工事費と系統連係や土地代ですが、屋上などの場合は土地代が不要です。
さて1kWあたりの費用が30万円だと、20kWでは600万円で、これに1kWあたりの運転維持費を月額5000円とすると、年間6万円です。
収入のほうは順調に風が吹いた場合は、1年間で20kW×24時間×365日ですから、175,200kWになり、@55円だと粗々で9,636,000円になります。
割り引いて80%とすると、粗々で7,708,800円です。
これは費用を1kWあたり30万円とした場合で、現実にはこれ以上になると考えられますが、それにしてもかなりの利益が期待できそうです。
なお、ネックになりそうなのが、周辺の住宅などと景観・環境で、申請と許認可周りでかなり時間がかかるようです。
また、住宅の屋上に風車があることは、室内に発電タービンを設置しますから、ノイズについては十分な配慮が必要になるでしょう。
このコラムの執筆専門家
- 石橋 大右
- (大阪府 / 住宅設備コーディネーター)
- 株式会社和上ホールディングス 代表取締役
太陽光発電とオール電化を追及するプロフェッショナル
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