畳の先は運河で、この先にはレインボーブリッジがあり、東京湾の花火も正面によく見える本当に贅沢な部屋です。
ここで風に吹かれながら食事をしていると、屋形船に乗っているよう。食事の時はクライアントが古道具屋で仕入れてきたちゃぶ台を出し、寝る時は運河の流れに沿って布団を川の字に敷き、家族揃って眠りにつきます。
改装前はバルコニーの手摺が邪魔して、あまり運河が見えなかったのですが、床のレベルを25センチほど高く上げたため、目線が上がって運河がよく見えるようになり、水の気配を感じられるようになりました。運河には屋形船が通ったり、カモメやサギが飛んでいたり、なんとエイが泳いでいる時もあります。黒竹の格子がついた腰高窓の下、周囲についている木桟は、将来、座卓を設置して書斎として使えるようにしてあります。
右の写真の正面に見えるのは、テレビ収納を兼ねた押入れです。左側の扉2枚の中には布団、窓側の扉の中にはテレビや関連機器が入っています。テレビを見るときは右側の扉を開けるのですが、開けっ放しで見ていても扉は邪魔にならず、見ていないときはテレビの存在を消せるので空間がすっきりします。また、押入れの上下を抜いているため、空間に広がりが生まれ、圧迫感を感じさせません。
村上建築設計室