iPhoneのほうが綺麗に撮れるって?-2015年版 - 写真撮影レッスン - 専門家プロファイル

宮本 陽
And EM アンド・エム 代表
兵庫県
カメラマン

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閲覧数順 2024年04月17日更新

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iPhoneのほうが綺麗に撮れるって?-2015年版

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AKIRA MIYAMOTO Official MailMagazine
【平成のデジタルフォト通信】 2015.09

・・・・・Photo Edition・・・・・


今回は、Appleの新製品発表の直後でもあり、iPhoneカメラの

お話しをさせていただきましょう。


■□■□━━【INDEX】━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■□

1. iPhoneのほうがキレイに撮れるって?
2. 実際に一眼レフより失敗が少ない理由





■□■□━━【1. iPhoneのほうがキレイに撮れるって?】  ━━■□■□

今週は、iPhone6sおよび6s Plusの発表があったばかりですが、
iPhone4sの時代に以下のような記事を書いています。


【iPhoneのほうが一眼レフより奇麗に撮れるって?】
http://mail.profile.ne.jp/c/afbfaaaa1JtT6Vad



これは、撮影者が色々と設定や操作に悩まずとも、構図を決め
シャッターボタンを押すだけでキレイな写真が撮れる。
といった、スマホカメラ全盛期を見越したプロダクトを世に送り
出したAppleの設計思想によるところが大きいと言えます。

実際には、露出や色、ダイナミックレンジなどが高度にコントロ
ールされ、「シャッターボタンを押したあとに」より美しく見え
るようにさまざまな処理を行い、調整した後に保存されています。

ですので、一眼レフカメラでも同じようなプロセスを経てデータ
が保存されるならば、桁違いにクオリティの高い画像が手に入る
のは間違いありません。


「ボタンを押しただけで魔法のようにキレイに撮れている」ので
はないことを、まずはじめに知っておく必要があります。

こうした背景を語らずして、一眼レフよりもiPhoneがキレイだ、
と発言するだけでは問題があるわけです。



しかし、クオリティ以前に、撮影自体が失敗するリスクも考えな
くてはなりません。
実はこの部分が「iPhoneのほうがキレイに撮れる」と言われる
所以でもあります。

iPhone のほうが桁違いに失敗のリスクが低い、ということなの
です。





■□■□━━【2.実際に一眼レフより失敗が少ない理由】━━━■□■□


ライブハウスでの撮影、といった事例を書いてみます。

a) 普及モデルのボディに購入時のキットレンズ装着の一眼レフ
b) iPhoneカメラにデフォルトのカメラアプリ。


ここでは、
「かなり照明が暗い」といった条件が命取りになります。


a)の一眼レフでは、
【ISO 3200・f5.6・シャッター速度1/15】あたりでしょうか。

同条件を、
b)のiPhoneカメラで撮ると...、
【ISO 1600・f2.2・シャッター速度1/60】程度に収まります。



ある程度撮影経験の長い方から見れば、まず手持ち1/15秒はムリ
と気づきます。
でも、a)のキットレンズは暗く、解放f5.6以上には開きません。
ISOも3200ではノイズまみれ、更にこれ以上は絶対に上げられな
い状態。

奏者が動けば間違いなく流れますし、撮影者側も手持ちではまず
ブレを避けるのは難しいでしょう。
全カットブレブレの失敗...を余儀なくされてしまいます。


他方、b)のiPhoneカメラでは、

まずレンズは30mm前後の広角であること。
広角は画角が広いため、遅めのシャッター速度でもブレを解像
する限界を超えず(=ブレが見えない範囲に収まる)、低速シャ
ッターの限界が下がります。
併せて、センサーが小さいために被写界深度も深く、ピント精度
の低さも問題になりにくい条件なのです。

また、絞りはf2前後の非常に明るいレンズを備えています。
結果としてシャッター速度が稼げる。という好条件続き。



これは、片手にワイングラスを持ったまま、もう片方の手でラフ
にiPhone撮影、という条件でもほぼ失敗なく記録できる条件かも
しれません。

しかも、初めに書きましたように、明暗差をより自然に収める、
HDRやノイズ軽減処理などが「保存の前に行われて」メモリーに
記録されるので、撮影者は「自分のウデが上がった」ように錯覚
する出来栄え。となります。

片手でiPhone...、
のほうが結果としては良好なものが得られることに驚かざるを得
ません。


一眼レフの名誉のために一言添えますと、

レンズが「解放f5.6」である時点で勝負は目に見えているのです。
同条件の「解放f2」前後のレンズを装着すれば、勝負は見事に逆
転してしまいます。
但し、iPhoneに比べセンサーが大きいため、ピント精度も高くな
くてはボケが大きく、この点の精度アップも図る必要が出てきま
す。


かくして、
「一眼レフよりiPhoneのほうがキレイに撮れる」
と発言する人が出てきます。

ノイズを後処理で強引に消したベタッとした再現性だとか、広角
30mm前後の画角による「広角歪み=鼻デカ犬風」といった部分
は触れないままに...。
まして、拡大した原寸大で見ると暗部のノイズや解像感もかなり
酷い出来となっている点も分析せずに...。


でも、それでいいのだと思います。

煩いことを言わず(これを何も考えずに、と表現することも多い
のですが)、結果としてキレイな写真が撮れるなら、こんな楽し
いことはないのですから。


私自身も日常撮影はiPhoneカメラオンリー、という状態になって
います。

今週末、皆様も是非、撮影をお楽しみください!



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