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赤岩 経大
(歯科医師)
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閲覧数順 2024年04月26日更新

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<医学博士が解説>むし歯の放置で敗血症に?!全身にバイ菌が広がる恐い話

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<今回のコラムの要点>

 

 深くなった大きな虫歯・・・歯医者が苦手だからと放置してしまい、運が悪いとどんな状態になるのかご存知でしょうか?

 たかが虫歯で命を落とす・・・現実に起こりうる最悪のシナリオついて解説させていただきます。

 

 虫歯の痛みを放置して歯の中に細菌が侵入。歯の内部に感染が広がり、根の周囲の顎(あご)の骨の中に化膿した病巣が拡大。

 そこから血液を介して全身にバイ菌がばら撒かれ、やがて免疫機能が破たんし、血液自体も腐ってしまう…そんな最悪のケースを想定してみましょう。

 

※このコラムの要旨は2014年3月3日に「専門家による時事ネタコラム ジジコ」に掲載されました。
http://jijico.mbp-japan.com/2014/03/03/articles7887.html

 

1.歯に虫歯で穴が空く 

 

 

 歯がムシ歯菌によって溶かされると、冷たい飲食物がしみる、甘いものを食べた後にしみるなどの一般的な虫歯の初期症状が現れます。

※この段階で治療すれば、通院回数1~2回で大抵は治ります。

 

 

2.穴が深くなりバイ菌が歯髄(しずい=歯の神経)を侵し始める

 

 虫歯が歯髄に入り始めて歯の内部で炎症を起こすと、夜眠れないほど痛みがひどくなります。この状態を歯髄炎(しずいえん)といい、熱いものもしみる、何もしていなくてもズキズキと強く痛み、ほとんどの方はこの痛みに耐えかねて、歯科医院を訪れることになります。

 

歯科で頻用される鎮痛剤「ロキソニン」について http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-61163/

 

 

3.感染病巣が顎(あご)の骨の中にできる

 

 歯髄が完全に腐って死んでしまうと、一時的に痛みは治まってしまいます。しかし、この間バイ菌は根っこの中を通り、根の周囲に病巣を広げます。

 

 根の周囲が膿んでくると、鈍い痛みや疼くなどの症状が出始めます。この状態を根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)といいます。上記の歯髄炎で歯の治療を始めても、途中で中断してしまうと歯の中でバイ菌が繁殖し、根尖性歯周炎になります。

 強い痛みはありませんが、顎の骨の中でさらに膿が溜まってくると、大きく腫れたり、熱が出るようになります

 

歯根嚢胞(歯根のう胞)をご存知ですか? http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-114984/


 

4.顎の中で化膿が拡がる

 

 

 顎骨の内部は骨髄と呼ばれるスポンジ状の柔らかい組織で、ここでバイ菌が拡がると骨が腐り始める場合があります。これを骨髄炎といいます。さらに骨髄には血液が豊富に流れているため、この頃になると血液にバイ菌が混じり、血流に乗って全身にバイ菌が運ばれるようになります(菌血症)。

 

 

5.血液を介して全身にバイ菌が広がる

 

 血液中には免疫機能を担うバイ菌と戦う白血球がいますので、通常はバイ菌が侵入してきても感染が広がることはありません。

 

 しかし、糖尿病などの基礎疾患がある方や、普段は健康な方でも、栄養状態が悪い、疲労の蓄積などで体力低下状態だと免疫力が低下し、白血球による防御が十分になされない場合があります。

 

 バイ菌が心臓に到達し心臓内部で広がって炎症を起こすと感染性心内膜炎(かんせんせいしんないまくえん)、脳に到達すれば脳膿瘍(のうのうよう=脳が膿んでいる状態)など、命にかかわる病状をきたしたケースが報告されています。

 

 

6.そして敗血症へ

 

 また、新たな飛び火を生じなくても、元の病巣から血液中にバイ菌が供給され続けると、やがて免疫機能が破たんし、爆発的にバイ菌が繁殖して血液が腐った状態=敗血症となってしまう場合もあります。こうなると手の施しようがなく不幸な結末を迎えることになります。 

 

歯科で頻用される抗生剤ジスロマックってどんな薬? http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-131043/

 

 虫歯以外に歯周病や親知らずの化膿を放置した場合にも、同様の転帰をたどった症例が報告されております。これらは適切な時期に歯の治療や原因歯の抜歯、抗生剤の投与が行なわれれば、ここまで大きな問題になりません。しかし、痛みや腫れがあるのを何度も我慢し、感染が広がった段階でも治療を行わないでいると、命にかかわるリスクが生じる可能性があることをぜひ知っておいてください。

 

 

 

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