保険料は3つの予定率をもとに算出していますが、実際には予定したとおりの死亡者数、運用利回り、事業費になるとは限りません。
予定と実際との差によって利益(相互会社の場合は剰余金)が生じた場合に、契約者に分配されるお金のことを”配当金”といいます。配当金は、多めに見積もって保険会社が集めた保険料の事後清算としての性格を持っています。このため、株式の配当金とは異なり収益とは認識されず、課税関係は生じません。
生命保険は大きく分けると、配当金の分配がある仕組みの「有配当保険」と配当金の分配のない仕組みの「無配当保険」に分類されます。新しいタイプとして、「準有配当保険」や「利率変動型保険」があります。
有配当保険(3利源配当型)
死差益、利差益、費差益の3つから配当金が支払われる保険
無配当保険
配当金が支払われない保険
準有配当保険(利差配当付き保険)
利差益のみから配当金が支払われる保険。「有配当保険」と「無配当保険」の中間に位置する保険で、平成8(1996)年10月に登場しました。
利率変動型保険
契約時または所定の見直し時期に定められた予定利率が、次回の見直し時期まで適用される予定利率変動型の保険。平成10(1998)年から登場した保険で、予定利率には最低保証があるのが一般的です。
配当金は、保険種類、性別、保険期間、保険金額などによって異なります。
基本的に“通常配当”と“特別配当”の2つがあります。
通常配当
毎年度末の決算日に、利益(または剰余金)が発生した場合に、契約後1年を超える契約に対し、契約後3年目の契約応当日から支払われる配当。「準有配当保険」のように、契約後6年目の契約応当日から5年ごとに利差益だけをまとめて配当金として支払うこともあります。
特別配当
長期継続契約に対して支払われる配当。一定以上の期間が経過している長期継続契約については、契約消滅時に特別配当が支払われる場合があります。
配当金は確定したものではなく、毎年の決算の結果によって変動するものです。
生命保険の保険料は予定利率としてあらかじめ一定の収益を見込んで割り引かれていますので、実際の運用収益が予定を下回るなど利益(または剰余金)が生じなかった場合には、配当金がゼロになることがあります。
ここがポイント!
配当がある保険が得で、配当がない保険は損ということはありません。配当がある保険はその分、保険料は割高になるものです。保険は配当を期待するのではなく、保障が目的であることを忘れてはいけません。
(2005.5.15公開 2014.12.29更新)
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