みなさん、こんにちは不動産コンサルタントの巻口です。不動産市場が活況を呈しています。
不動産市況が好調な背景にアベノミクスによる大胆な金融緩和があるのは間違いありません。短期国債を取引する市場ではマイナス金利が見られ、為替市場では円安が進み、株式市場では株高で推移するなど、アベノミクスの大胆な金融緩和によって低金利・円安・株高の流れとなっています。
日本銀行は10月31日の金融政策決定会合で、デフレマインドの転換が遅延するリスクがあることを主な理由として追加緩和に踏み切りました。追加緩和を決定したニュースが流れると日経平均株価が1日で700円を超える大幅な上昇となるなど、金融市場は素直に反応しました。
日本銀行の追加金融緩和の内容は、「マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう」金融調節を行うことに加え、国債の買い入れを「保有残高が年間約80兆円に相当するペース」に増やすほか、指数連動型上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J-REIT)の買い入れも「それぞれ年間約3兆円、年間約900億円に相当するペース」に拡大するというものです。
日本銀行が大胆な金融緩和をさらに強化したことで、一部には政府・日銀による景気対策がなりふり構わぬ状況になってきたと評するコメントも出てきています。
日本銀行の超金融緩和に目が行きやすいこともあり、いま株式市場が堅調で不動産市況が活況なのは、金融緩和に支えられたバブル的なものという見方もあります。
実際のところ、いまの不動産市況の堅調さはカネ余りのバブル的なものなのでしょうか。
それを検証するためにJ-REIT市場を見てみましょう。J-REITは「不動産」と「株式」のハイブリッドの性質を持つ不動産証券化の金融商品です。J-REITは金融市場を通した間接的な不動産投資とも言えます。不動産、株式と金融市場の状況を見るのにJ-REITは最も適していると言えます。
以下の図は日本経済の基礎的な要素(ファンダメンタルズ)である雇用者数の動きと、J-REIT市場の動きを見比べたものです。これを見ると、2013年から赤線で示した全国の就業者数が増えていることがわかります。
このデータは総務省統計局の「労働力調査」から取りました。2014年10月の統計では就業者数は6390万人で、22か月連続の増加となっています。
この図を見てわかることは、J-REIT市場の動きと雇用者数の伸びとは似たような動きになっているということです。つまり、J-REIT市場に見られるような不動産市況の好調さや株式市場の堅調さは、単に金融緩和によるものだけではなく、就業者数の増加といった日本経済のファンダメンタルズの動きに沿ったものと言っていいのです。
不動産市況が好調なのは、金融緩和だけではなく、就業者数の増加といった経済の基礎的な部分の改善もあるのです。
アベノミクスというと金融緩和に目が向きやすいですし、総裁が交代してからの日本銀行は人々を驚かす演出が上手なので日本銀行の動きが注目されやすいのですが、そういう時こそ冷静に経済の動きを見ていく必要があると言えます。
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