神奈川の地震:1853年嘉永小田原地震の話 - 地震・津波(耐震・地盤・液状化) - 専門家プロファイル

中舎 重之
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松島 康生
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閲覧数順 2024年04月16日更新

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神奈川の地震:1853年嘉永小田原地震の話

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      神奈川の地震: 1853年嘉永小田原地震の話

  1853年(嘉永6)3月12日、相模湾北西部沿岸の小田原を中心に、

マグニチュード(M)7の大地震が発生しました。

「嘉永小田原地震」と呼ばれる此の地震は、午前10時すぎに一度目が、 

10~15分後に二度目が起きた様です。

小田原城の天守閣が大破し、城内の藩主の屋敷や役所の建物が半壊しました。

城の櫓、門、塀、石垣等に被害が出ました。城下町では、藩士の屋敷が全壊と半壊を合わせて60棟、

大破・中破は100以上です。町家は全壊・半壊で123棟、破損が430棟との事です。

  小田原藩の領内では、農家の全壊・半壊が2229棟、破損が1200棟以上と甚大でした。

以上の地域では、震度6~7であったと推定されます。

箱根山中では、落石や道路・橋の損傷で、東海道の交通は9日間遮断された

様です。不幸中の幸いは、小田原の町で三カ所の出火がありましたが、

すぐに消し止められた事と、大きな津波がなかった事です。

真鶴湊には津波が来て4m位潮が引いたと記録があります。

江戸(東京)では、強く長く揺れた様です。震度4~5程度と思われます。


  此の小田原地震の1年9ヶ月後、1854年(安政元年)12月23日午前10時に、

伊豆半島西側の駿河トラフでM8クラスの巨大地震が発生しました。「安政東海地震」です。

駿河湾から遠州灘、熊野灘に及ぶ広大な地域での地震です。

下田への津波は、第2波が最大で波高7m近くに達した様です。下田の町は完全に消滅しました。

841棟が流失、30棟が浸水、死者122名と記録にあります。


 三島から浜名湖附近までの沿岸は、震度6~7の激震と思われます。

東海道の宿場のうち三島、蒲原、清水、掛川、袋井は全壊と焼失とあります。

ただし、島田は家屋の倒壊が少なかった様です。


  静岡県の山岳地帯は山崩れが発生し、富士川では上流の白鳥山が崩壊して、

川の流れを堰き止めた後に、決壊して下流が大洪水になりました。

蒲原宿では、地震で緩んだ裏山が3年後の豪雨にて崩れ、

宿内の社寺や民家が多数埋まると云う被害も出ています。

 伊勢湾沿岸も震度6に達した所が多く、被害も大きかったとの事です。


  安政東海地震での海底の巨大な亀裂は、熊野灘附近で一旦は止まりました。

ですが此の東海地震の30時間後の1854年12月24日の夕暮れに、 

紀伊水道沖でM8クラスの巨大地震が発生しました。「安政南海地震」です。

紀伊半島の熊野灘から四国の土佐沖までの広範囲で、震度6以上の烈震です。

  大津波は、紀伊半島南西部から土佐湾沿岸に7~8mの波高で襲いました。

熊野灘沿岸は前日に続く災害を被りました。

津波は大阪湾にも押し寄せて大きい船をも呑み込み、木津川・阿部川を遡上して小舟をはね飛ばし、

多くの橋を破壊しました。

此の地震で、紀伊半島先端や室戸岬が1.0~1.2mも隆起しました。


  此の地震の11ヶ月後の1855年(安政2)11月11日には、

江戸の直下でM6.9の大地震が発生します。「安政江戸地震」です。

1703年M8.2の元禄関東地震より152年目に当たります。

  江戸の東半分の低地が、震度6~7の激震に襲われました。

地震は上下動が極めて強く、建物が瞬時に倒壊したとあります。

現在の足立・葛飾・江戸川区、埼玉県南東部、千葉県西部の地震動も激しく、

松戸・浦安・木更津などは、震度6の烈震との事です。

 北方は、荒川・利根川流域の軟弱地盤に沿って烈震が走り、江戸湾北岸から60km以上離れた、

忍城と行田市周辺でも震度6を記録しています。

川崎や横浜の海岸部でも震度6の烈震です。


  1853年に小田原から始まった地震は、1854年の熊野灘と紀伊水道沖とで2度地震を誘発して、

1855年の江戸湾直下型地震へと続きました。

駿河湾と東京湾では、すでに160年の地震の空白期間がありますので、

何れにしても、地震が何時起きてもおかしくない状態にあるとのお話でした。


2014年9月   中舎重之    ホームページ: スーパーフレーム「やすらぎ」 にて検索

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