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交響曲を発明したハイドン

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 交響曲はハイドンが発明しました。

発明と言われてもピンとしないことでしょう。

現在、有名な作曲家が作曲した交響曲の数はハイドンが104曲、モーツァルトが41曲、この2人の曲数が多く、次に続くのは10曲前後になります。

現代における交響曲は「ソナタ形式の楽章を含む4曲からなる組曲」という形式が基本になります。

組曲の数はその作品と作曲者によって増減がありますが4楽章形式が一般的な形式です。

 ハイドンはこの形式を完成させ「交響曲」とよばれるものを発明しました。

ハイドン以前にもソナタを作曲したり組曲を作った作曲家はいたのですが、交響曲としての形式を確立させたのはハイドンです。

モーツァルトはハイドンと同時期にウィーンなどで活動しており親交もありました。ですので交響曲という形式を確立する上で2人は深い関係があったと思われます。

 

 ハイドンの後期の交響曲は大体下記のような形式により構成され、特に第96番から最後の交響曲である第104番までの所謂「ロンドン・セット」ではこの形式が確立されたことがよく分かります。

  [第1楽章]Adagio のようなゆったりしたテンポによる導入部、からの

         Allegro のような軽快なテンポで旋律が提示されるソナタ形式

  [第2楽章]緩徐楽章、穏やかで滑らかな音楽

  [第3楽章]メヌエットのような舞曲を基にした音楽

  [第4楽章]速いテンポや勢いのある曲調の、組曲の最後を飾る派手な音楽

 ではなぜ交響曲がこの形式になったのかは様々な説がありますが、聴いていて適度な変化がありながら統一感がある、ということが言われています。

もっと平たく言うと「いろいろな形式を作ったのだけれども、演奏したり聴いていて一番しっくりきた。」ということかもしれません。

エステルハージ家に仕えていた頃のハイドンは宮殿で新しい交響曲を発表し、翌日からまた新しい曲を書き、という多作が求められた生活をしていました。

次々に曲を書き上げるにはある一定の形式が必要でした。

 ハイドン以降の作曲家もこの形式を踏襲しながらも新たな形を模索し続けました。

あまり枠から外れてしまうと交響曲から外れてしまうし、音符によって自らの個性を表現したい、聴衆にも受け入れられたい、これらのことを考えながら作曲家は日々悩み苦しみながら創作を続けるのです。

 尚、1944年生まれのフィンランドの作曲家、レイフ・セーゲルタムが史上最多の200曲の交響曲を作曲しているということを今初めて知りました。

彼の作品も聴いてみたいものです。

 

 では前回触れたブリュッヘンとハイドンについて。

ブリュッヘンは新日本フィルハーモニー交響楽団とのハイドン・プロジェクトについてこのように語っています。

「ハイドンを演奏する上でそんなに特別なことがあるわけではありません。ただ、そこには決められたルールがたくさんあるのです。ヨーロッパでさえ今日ではすでに忘れ去られてしまったルールが。その方法さえ会得すれば、自ずと正しい方向へと向かいます。」

 現代の我々からみると過去に作曲された古い楽曲でもハイドンが初演した時は最新の音楽。

ブリュッヘンのハイドンは世界級の優秀なオーケストラによって耳の肥えた日本の聴衆に新鮮な音楽を聴かせたいということではないでしょうか。

 ピリオド奏法で演奏したり古楽器で演奏することは単なる懐古主義ではありません。

ハイドンやモーツァルト、更に前のバッハの頃の楽器とその奏法で演奏することで無垢な響きや闊達な演奏を聴くことができ、このことは現代に生きる者としては新しい刺激になっています。

昨今の古楽ブームは過去への郷愁ではなく、新鮮な音楽への探求だと思うのです。

ハイドンらしさのような「らしさ」を表現するということは音楽だけでなく芸術一般、さらには人間の生き方にも大切にしたいことではないでしょうか。

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