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村田 英幸
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Blog201404、建築基準法に関する平成元年以降の最高裁判例

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Blog201404、建築基準法に関する平成元年以降の最高裁判例


 損害賠償請求事件 (建築確認構造計算書偽装事件)
 平成25年3月26日  最高裁判所第三小法廷  判決
 棄却 、 裁判集民事 第243号101頁
【判示事項】
 1 建築士の設計に係る建築物の計画についての建築主事による建築確認が国家賠償法1条1項の適用上違法となる場合
2 一級建築士により構造計算書に偽装が行われていた建築物の計画についての建築主事による建築確認が国家賠償法1条1項の適用上違法となるとはいえないとされた事例
【裁判要旨】
 1 建築士の設計に係る建築物の計画についての建築主事による建築確認は,当該計画の内容が建築基準関係規定に明示的に定められた要件に適合しないものであるときに,申請書類の記載事項における誤りが明らかで,当該事項の審査を担当する者として他の記載内容や資料と符合するか否かを当然に照合すべきであったにもかかわらずその照合がされなかったなど,建築主事が職務上通常払うべき注意をもって申請書類の記載を確認していればその記載から当該計画の建築基準関係規定への不適合を発見することができたにもかかわらずその注意を怠って漫然とその不適合を看過した結果当該確認を行ったと認められる場合に,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
2 一級建築士により構造計算書に次の(1)ア~ウの偽装が行われていた建築物の計画に係る建築主事による建築確認は,次の(2)ア~ウなど判示の事情の下においては,国家賠償法1条1項の適用上違法となるとはいえない。
(1)ア 開口部が広くつなぎ梁がぜい弱である耐震壁につき,本来の2枚ではなく1枚の耐震壁としてモデル化して応力の計算がされていた。
イ 1階の剛性率は,10分の6以上ではなかったのに,10分の6以上とされていた。
ウ 耐力壁の断面の検討における設計用せん断力につき,当該構造計算書で用いられている国土交通大臣の認定等を受けたプログラムによる応力解析結果と異なる何の根拠もない数値が手作業で入力されていた。
(2)ア 当時の建築基準関係規定には,建築物のモデル化の在り方や内容に関する定めがなかった。
イ 1階の剛性率は,適切な入力データに基づき上記プログラムにより計算された結果として記載されていた。
ウ 国土交通大臣の認定等を受けたプログラムは100種類以上あってその種類や追加機能の有無により手作業で入力すべき項目の範囲等が多種多様である上,当該構造計算書における上記プログラムの出力結果は膨大なものであり手作業で入力された数値も相当多岐にわたっていた。
(注) 剛性率 :地震荷重に対して求められる層間変形角の逆数を各階の層間変形角の逆数の全階にわたる平均値で除した比率
 せん断力:部材等の断面に作用する応力のうちその断面の両側を相互に逆方向にずれさせるように働く力
【参照法条】
 建築基準法(平成16年法律第111号による改正前のもの)6条1項,建築基準法(平成18年法律第92号による改正前のもの)6条3項,建築基準法(平成18年法律第92号による改正前のもの)6条4項,建築基準法(平成18年法律第92号による改正前のもの)6条5項,国家賠償法1条1項


 請負代金請求本訴,損害賠償等請求反訴事件
 平成23年12月16日 最高裁判所第二小法廷  判決
 破棄差戻し 、 裁判集民事 第238号297頁
【判示事項】
 1 建築基準法等の法令の規定に適合しない建物の建築を目的とする請負契約が公序良俗に反し無効とされた事例
2 建築基準法等の法令の規定に適合しない建物の建築を目的とする公序良俗違反の請負契約に基づく本工事の施工が開始された後に施工された追加変更工事の施工の合意が公序良俗に反しないとされた事例
【裁判要旨】
 1 注文者と請負人が建築基準法等の法令の規定に適合しない建物の建築を目的とする請負契約を締結した場合において,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,上記請負契約は,公序良俗に反し,無効である。
(1) 上記請負契約は,建築基準法所定の確認及び検査を潜脱するため,法令の規定に適合した建物の建築確認申請用図面のほかに,法令の規定に適合しない建物の建築工事の施工用図面を用意し,前者の図面を用いて建築確認申請をして確認済証の交付を受け,一旦は法令の規定に適合した建物を建築して検査済証の交付も受けた後に,後者の図面に基づき建築工事を施工することを計画して締結されたものである。
(2) 上記建物は,上記(1)の計画どおり建築されれば,耐火構造に関する規制違反や避難通路の幅員制限違反など,居住者や近隣住民の生命,身体等の安全に関わる違法を有する危険な建物となるものであった。
(3) 請負人は,建築工事請負等を業とする者でありながら,上記(1)の計画を全て了承し,上記請負契約の締結に及んだのであり,請負人が上記建物の建築という注文者からの依頼を拒絶することが困難であったというような事情もうかがわれない。
2 建築基準法等の法令の規定に適合しない建物の建築を目的とする公序良俗違反の請負契約に基づく本工事の施工が開始された後に施工された追加変更工事は,同工事が区役所の是正指示や近隣住民からの苦情など様々な事情を受けて別途合意の上施工されたものであり,その中には上記本工事の施工によって既に生じていた違法建築部分を是正する工事も含まれていたという事情の下では,上記追加変更工事の中に上記本工事で計画されていた違法建築部分につきその違法を是正することなくこれを一部変更する部分があるのであれば,その部分は別の評価を受けることになるが,そうでなければ,その施工の合意が公序良俗に反するものということはできない。
【参照法条】
 (1,2につき)民法90条,民法632条


 一級建築士免許取消処分等取消請求事件
平成23年6月7日  最高裁判所第三小法廷 判決
 破棄自判、 民集 第65巻4号2081頁
【判示事項】
 公にされている処分基準の適用関係を示さずにされた建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項2号及び3号に基づく一級建築士免許取消処分が,行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法であるとされた事例
【裁判要旨】
 建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項2号及び3号に基づいてされた一級建築士免許取消処分の通知書において,処分の理由として,名宛人が,複数の建築物の設計者として,建築基準法令に定める構造基準に適合しない設計を行い,それにより耐震性等の不足する構造上危険な建築物を現出させ,又は構造計算書に偽装が見られる不適切な設計を行ったという処分の原因となる事実と,同項2号及び3号という処分の根拠法条とが示されているのみで,同項所定の複数の懲戒処分の中から処分内容を選択するための基準として多様な事例に対応すべくかなり複雑な内容を定めて公にされていた当時の建設省住宅局長通知による処分基準の適用関係が全く示されていないなど判示の事情の下では,名宛人において,いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることができず,上記取消処分は,行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠き,違法である。
【参照法条】
 行政手続法12条,行政手続法14条,建築士法(平成18年法律第92号による改正前のもの)10条1項,建築士の処分等について(平成11年12月28日建設省住指発第784号都道府県知事宛て建設省住宅局長通知。平成19年6月20日廃止前のもの)記(附則を除く。),建築士の処分等について(平成11年12月28日建設省住指発第784号都道府県知事宛て建設省住宅局長通知。平成19年6月20日廃止前のもの)別表第1(表1を除く。)


道路指定処分不存在確認請求事件
 平成20年11月25日  最高裁判所第三小法廷  判決
 破棄自判、 裁判集民事 第229号215頁
【判示事項】
 建築基準法第3章の規定が適用されるに至った際,幅員4m未満の道のうち一方の端から特定の地点までの部分には現に建築物が立ち並んでいたが,同地点から他方の端までの部分には建築物が存在しなかった場合において,後者の部分が同法42条2項にいう「現に建築物が立ち並んでいる道」に当たらないとされた事例
【裁判要旨】
 建築基準法第3章の規定が適用されるに至った際,A点からB点を経てC点に至る幅員4m未満の道のうち,A点からB点までの部分には現に建築物が立ち並んでいたが,B点からC点までの部分には建築物が存在しなかった場合において,次の(1),(2)などの判示の事実関係の下では,B点からC点までの部分は,同法42条2項にいう「現に建築物が立ち並んでいる道」に当たらない。
(1) A点からB点を経てC点に至る道は,A点及びC点を除き建築基準法42条1項所定の道路に接続する箇所はなかったが,B点から幅員4m未満の道が分岐し,これを経由して同項所定の道路に至ることも可能であった。
(2) B点からC点までの部分は,相当の長さ(約60m)を有していた。
【参照法条】
 建築基準法42条2項


根抵当権抹消登記手続等請求事件
 平成18年6月12日  最高裁判所第一小法廷  判決
 破棄差戻し、 裁判集民事 第220号403頁
【判示事項】
 1 建築会社の担当者が顧客に対し融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後にその敷地の一部売却により返済資金を調達する計画を提案した際に上記計画には建築基準法にかかわる問題があることを説明しなかった点に説明義務違反があるとされた事例
2 建築会社の担当者と共に顧客に対し融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後にその敷地の一部売却により返済資金を調達する計画を説明した銀行の担当者に上記計画には建築基準法にかかわる問題があることについての説明義務違反等がないとした原審の判断に違法があるとされた事例
【裁判要旨】
 1 建築会社の担当者が,顧客に対し,銀行から融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後,敷地として建築確認を受けた土地の一部を売却することにより融資の返済資金を調達する計画を提案し,顧客が,上記計画に沿って銀行から融資を受けて建物を建築したが,その後,上記土地の一部を予定どおり売却することができず,上記融資の返済資金を調達することができなくなったところ,上記計画には,上記土地の一部の売却によりその余の敷地部分のみでは上記建物が容積率の制限を超える違法な建築物となり,また,上記土地の一部の買主がこれを敷地として建物を建築する際には,敷地を二重に使用することとなって建築確認を直ちには受けられない可能性があるという問題があったなど判示の事実関係の下においては,上記問題を認識しながらこれを顧客に説明しなかった上記担当者には,信義則上の説明義務違反がある。
2 銀行の担当者が,顧客に対し,融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後,敷地として建築確認を受けた土地の一部を売却することにより融資の返済資金を調達する計画を提案した建築会社の担当者と共に,上記計画を説明し,顧客が,上記計画に沿って銀行から融資を受けて建物を建築したが,その後,上記土地の一部を予定どおり売却することができず,上記融資の返済資金を調達することができなくなったところ,上記計画には,上記土地の一部の買主がこれを敷地として建物を建築する際,敷地を二重に使用することとなって建築確認を直ちには受けられない可能性があることなどの問題があったなど判示の事実関係の下においては,顧客が,原告として,銀行の担当者は顧客に対して上記土地の一部の売却について取引先に働き掛けてでも確実に実現させる旨述べたなどの事情があったと主張しているにもかかわらず,上記事情の有無を審理することなく,上記担当者について,上記問題を含め上記土地の一部の売却可能性を調査し,これを顧客に説明すべき信義則上の義務がないとした原審の判断には,違法がある。
【参照法条】
 (1,2につき)民法1条2項,民法415条,民法709条,建築基準法52条 (1につき)民法632条 (2につき)民法587条


建築物撤去等請求事件(国立マンション事件)
 平成18年3月30日  最高裁判所第一小法廷  判決
 棄却、 民集 第60巻3号948頁
【判示事項】
 1 良好な景観の恵沢を享受する利益は法律上保護されるか
2 良好な景観の恵沢を享受する利益に対する違法な侵害に当たるといえるために必要な条件
3 直線状に延びた公道の街路樹と周囲の建物とが高さにおいて連続性を有し調和がとれた良好な景観を呈している地域において地上14階建ての建物を建築することが良好な景観の恵沢を享受する利益を違法に侵害する行為に当たるとはいえないとされた事例
【裁判要旨】
 1 良好な景観に近接する地域内に居住する者が有するその景観の恵沢を享受する利益は,法律上保護に値するものと解するのが相当である。
2 ある行為が良好な景観の恵沢を享受する利益に対する違法な侵害に当たるといえるためには,少なくとも,その侵害行為が,刑罰法規や行政法規の規制に違反するものであったり,公序良俗違反や権利の濫用に該当するものであるなど,侵害行為の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くことが求められる。
3 南北約1.2kmにわたり直線状に延びた「大学通り」と称される幅員の広い公道に沿って,約750mの範囲で街路樹と周囲の建物とが高さにおいて連続性を有し,調和がとれた良好な景観を呈している地域の南端にあって,建築基準法(平成14年法律第85号による改正前のもの)68条の2に基づく条例により建築物の高さが20m以下に制限されている地区内に地上14階建て(最高地点の高さ43.65m)の建物を建築する場合において,(1)上記建物は,同条例施行時には既に根切り工事をしている段階にあって,同法3条2項に規定する「現に建築の工事中の建築物」に当たり,上記条例による高さ制限の規制が及ばないこと,(2)その外観に周囲の景観の調和を乱すような点があるとは認め難いこと,(3)その他,その建築が,当時の刑罰法規や行政法規の規制に違反したり,公序良俗違反や権利の濫用に該当するなどの事情はうかがわれないことなど判示の事情の下では,上記建物の建築は,行為の態様その他の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くものではなく,上記の良好な景観に近接する地域内に居住する者が有するその景観の恵沢を享受する利益を違法に侵害する行為に当たるとはいえない。
【参照法条】
 (1~3につき)民法709条,憲法13条,景観法2条1項,東京都景観条例(平成9年東京都条例第89号)1条,国立市都市景観形成条例(平成10年国立市条例第1号)1条,都市計画法(平成12年法律第73号による改正前のもの)12条の4,都市計画法(平成12年法律第73号による改正前のもの)12条の5第3項,建築基準法(平成14年法律第85号による改正前のもの)68条の2,国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例(平成11年国立市条例第30号。平成12年国立市条例第26号による改正前のもの)7条(3につき)建築基準法(平成14年法律第85号による改正前のもの)3条2項


○通行の自由
工作物撤去等請求事件
 平成18年3月23日 最高裁判所第一小法廷  判決
 破棄差戻し 、 裁判集民事 第219号967頁
【判示事項】
 被告の所有する土地が建築基準法42条2項所定の道路(いわゆるみなし道路)に当たるとして人格権的権利に基づき同土地上の工作物の撤去を求める訴訟において被告が同土地が「みなし道路」であることを否定することは信義則上許されないとされた事例
【裁判要旨】
 被告の所有する土地が建築基準法42条2項所定の道路(いわゆるみなし道路)に当たるとして同土地周辺の建物所有者である原告らが提起した人格権的権利に基づき同土地上の工作物の撤去を求める訴訟において,被告が同土地がみなし道路であることを否定することは,被告が,建物を建築するに際し,同土地がみなし道路であることを前提に建築確認を得,同土地に幅員4mの道路を開設し,その後5年以上同土地が「みなし道路」であることを前提に建物を所有してきた上,同土地は公衆用道路として非課税とされているという事実関係の下では,信義則上許されない。
【参照法条】
 民法1条2項,民法2条,民法198条,民訴法2条,建築基準法42条2項,憲法13条


 訴えの変更許可決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
 平成17年6月24日  最高裁判所第二小法廷  決定
 棄却、 裁判集民事 第217号277頁
【判示事項】
 指定確認検査機関の確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体と行政事件訴訟法21条1項所定の「当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」
【裁判要旨】
 指定確認検査機関による建築基準法6条の2第1項の確認に係る建築物について,同法6条1項の確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は,指定確認検査機関の当該確認につき行政事件訴訟法21条1項所定の「当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」に当たる。
【参照法条】
 行政事件訴訟法21条1項,建築基準法4条,建築基準法6条1項,建築基準法6条の2,建築基準法第4章の2第2節(指定確認検査機関)


 損害賠償請求事件
 平成15年11月14日  最高裁判所第二小法廷  判決
 棄却 、 民集 第57巻10号1561頁
【判示事項】
 1 建築士が建築士法3条から3条の3まで及び建築基準法(平成10年法律第100号による改正前のもの)5条の2の各規定等による規制の実効性を失わせる行為をした場合における建築物の購入者に対する不法行為の成否
2 建築確認申請書に自己が工事監理を行う旨の実体に沿わない記載をした一級建築士が建築主に工事監理者の変更の届出をさせる等の適切な措置を執らずに放置した行為が当該建築主から瑕疵のある建物を購入した者に対する不法行為となるとされた事例
【裁判要旨】
 1 建築士は,その業務を行うに当たり,建築物を購入しようとする者に対する関係において,建築士法3条から3条の3まで及び建築基準法(平成10年法律第100号による改正前のもの)5条の2の各規定等による規制の潜脱を容易にする行為等,その規制の実効性を失わせるような行為をしてはならない法的義務があり,故意又は過失によりこれに違反する行為をした場合には,その行為により損害を被った建築物の購入者に対し,不法行為に基づく賠償責任を負う。
2 一級建築士又は二級建築士による設計及び工事監理が必要とされる建物の建築につき一級建築士が建築確認申請手続を代行した場合において,建築主との間で工事監理契約が締結されておらず,将来締結されるか否かも未定であるにもかかわらず,当該一級建築士が,建築主の求めに応じて建築確認申請書に自己が工事監理を行う旨の実体に沿わない記載をし,工事監理を行わないことが明確になった段階でも,建築主に工事監理者の変更の届出をさせる等の適切な措置を執らずに放置したこと,そのため,実質上,工事監理者がいない状態で建築された当該建物が重大な瑕疵のある建築物となったことなど判示の事情の下においては,当該一級建築士の上記行為は,建築士法3条の2及び建築基準法(平成10年法律第100号による改正前のもの)5条の2の各規定等による規制の実効性を失わせる行為をしたものとして当該建物を購入した者に対する不法行為となる。
【参照法条】
 民法709条,建築士法3条,建築士法3条の2,建築士法3条の3,建築士法(平成9年法律第95号による改正前のもの)18条,建築基準法(平成10年法律第100号による改正前のもの)5条の2


○処分性
道路判定処分無効確認請求事件
 平成14年1月17日  最高裁判所第一小法廷  判決
 破棄差戻し、 民集 第56巻1号1頁
【判示事項】
 告示により一括して指定する方法でされた建築基準法42条2項所定のいわゆる「みなし道路」の指定と抗告訴訟の対象
【裁判要旨】
 告示により一定の条件に合致する道を一括して指定する方法でされた建築基準法42条2項所定のいわゆる「みなし道路」の指定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
【参照法条】
 建築基準法42条2項,行政事件訴訟法3条


○通行の自由
 車止め撤去請求事件
 平成12年1月27日  最高裁判所第一小法廷  判決
破棄自判 、 裁判集民事 第196号201頁
【判示事項】
 一 いわゆるみなし道路の通行妨害と妨害排除請求権
二 いわゆるみなし道路に接する土地の所有者から右道路の敷地所有者に対する同人により右道路内に設置された金属製ポールの撤去請求が認められないとされた事例
【裁判要旨】
 一 建築基準法42条2項の規定による指定を受け現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、又は妨害されるおそれがあるときは、敷地所有者が右通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)を有する。
二 建築基準法42条2項の規定による指定を受け現実に開設されている道路にその敷地所有者が自動車の通行の妨げとなる金属製ポールを設置した場合において、右道路が専ら徒歩又は二輪車による通行に供されてきた未舗装のものであり、右道路に接する土地の所有者は、同土地を利用しておらず、賃貸駐車場として利用する目的で右ポールの撤去を求めているにすぎないなど判示の事実関係の下においては、同土地の所有者は、右道路を自動車で通行することについて日常生活上不可欠の利益を有しているとはいえず、敷地所有者に対して人格権的権利に基づき右ポールの撤去を求めることはできない。
【参照法条】
 民法1条ノ2,民法198条,民法199条,建築基準法42条2項


○通行の自由
通行妨害排除請求
 平成9年12月18日  最高裁判所第一小法廷  判決
 棄却 、 民集 第51巻10号4241頁
【判示事項】
 いわゆる位置指定道路の通行妨害と妨害排除請求権
【裁判要旨】
 建築基準法42条1項5号の規定による位置の指定を受け現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、又は妨害されるおそれがあるときは、敷地所有者が右通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)を有する。
【参照法条】
民法1条ノ2,民法198条,民法199条,建築基準法42条1項5号


○通行の自由
工作物収去等請求
 平成5年11月26日 最高裁判所第二小法廷  判決
 破棄自判、 裁判集民事 第170号641頁
【判示事項】
 建築基準法42条2項の指定により同条1項の道路とみなされている土地上に設置されたブロック塀の収去請求が許されないとされた事例
【裁判要旨】
建築基準法42条2項の指定により同条1項の道路とみなされている土地上にブロック塀が設置された場合において、右ブロック塀の設置により既存の通路の幅員が狭められた範囲がブロック二枚分の幅にとどまり、右ブロック塀の外側に既存の通路があって、日常生活上支障が生じていないときは、隣接地の地上建物の所有者は、人格権が侵害されたことを理由として右ブロック塀の収去を求めることができない。
【参照法条】
 建築基準法42条1項,建築基準法42条2項,民法198条,民法710条


工事妨害禁止等請求
 平成5年9月24日  最高裁判所第二小法廷  判決
 破棄自判 、民集 第47巻7号5035頁
【判示事項】
 隣接地に下水管を敷設する工事の承諾及び当該工事の妨害禁止請求が権利の濫用に当たるとされた事例
【裁判要旨】
 建物の汚水を公共下水道に流入させるため隣接地に下水管を敷設する必要がある場合において、建物が建築基準法に違反して建築されたものであるため除却命令の対象となることが明らかであるときは、建物の所有者において右の違法状態を解消させ、確定的に建物が除却命令の対象とならなくなったなど、建物が今後も存続し得る事情を明らかにしない限り、建物の所有者が隣接地の所有者に対し右下水管の敷設工事の承諾及び右工事の妨害禁止を求めることは、権利の濫用に当たる。
【参照法条】
 下水道法11条1項,下水道法3項,民法1条3項


損害賠償請求
 平成5年4月23日  最高裁判所第二小法廷  判決
 破棄差戻し、 裁判集民事 第169号37頁
【判示事項】
行政指導を受けたことと建築確認の遅延との間に因果関係がないとした認定に経験則違反、審理不尽、理由不備の違法があるとされた事例
【裁判要旨】
 一筆の土地に容積率の上限に近い建物を建築した上、右土地を分筆し、建物の存在しない方の土地をマンション建築用地として売り渡した者に対する買主の損害賠償請求訴訟において、買主が市から建築確認申請を保留するようにとの行政指導を受け、いったんマンションの建築を断念したが、後日、売主が容積率違反の状態を解消する措置を採ることを命ずる市長の命令に応じないことが明らかになり、買主も右行政指導に従う意思を放棄して建築確認申請をしたため、結局、申請どおりの建築確認がされたなど、判示の事実関係の下において、買主が行政指導を受けたことと建築確認の遅延との間に因果関係がないとした原審の認定には、経験則違反ひいては審理不尽、理由不備の違法がある。
【参照法条】
 民訴法185条,民訴法394条,民訴法395条1項6号,建築基準法52条


○通行の自由
 工作物撤去請求
 平成3年4月19日  最高裁判所第二小法廷  判決
 破棄自判、 裁判集民事 第162号489頁
【判示事項】
 道路位置指定処分がされた土地上に設置された工作物の撤去請求が許されないとされた事例
【裁判要旨】
 道路位置指定処分がされたが現実に道路として開設されていない土地上に工作物が設置されている場合において、隣接地の所有者は、右処分がされた土地を自由に通行し得ることを前提として、右工作物の撤去を求めることができない。
【参照法条】
 建築基準法(昭和34年法律第156号による改正前のもの)42条1項,民法198条,民法710条


建物収去等請求事件
 平成1年9月19日 最高裁判所第三小法廷 判決
 破棄自判、 民集 第43巻8号955頁
【判示事項】
 建築基準法65条所定の建築物の建築と民法234条1項の適用の有無
【裁判要旨】
 建築基準法65条所定の建築物の建築には、民法234条1項は適用されない。
【参照法条】
 建築基準法65条,民法234条1項


○建築確認についての訴えの利益
 建築基準法による確認処分取消請求
 昭和59年10月26日 最高裁判所第二小法廷 判決
 棄却、 民集 第38巻10号1169頁
【判示事項】
 工事が完了した場合における建築確認の取消を求める訴えの利益の有無
【裁判要旨】
 建築基準法6条1項による確認を受けた建築物の建築等の工事が完了したときは、右確認の取消を求める訴えの利益は失われる。
【参照法条】
 行政事件訴訟法9条,建築基準法6条1項