『新・裁判実務体系27 住宅紛争訴訟法』青林書院 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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対象:民事家事・生活トラブル

田中 圭吾
田中 圭吾
(行政書士)
村田 英幸
(弁護士)

閲覧数順 2017年11月18日更新

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『新・裁判実務体系27 住宅紛争訴訟法』青林書院

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相続

『新・裁判実務体系27 住宅紛争訴訟法』青林書院

2006年、35項目、本文約510頁。

裁判官らによる共著である。

本書の構成は、Ⅰ建築行政(建築基準法など)が5項目、Ⅱ請負(民法の請負契約など)が15項目、Ⅲ住宅の購入が5項目、Ⅳ近隣(民法の相隣関係など)が3項目、Ⅴ紛争解決が5項目、Ⅵ保険が1項目、補遺が建築行政に関して2項目である。

建築紛争に関連する、おおむね平成15年までの裁判例が解説されている。

建築基準法は、本書刊行の後、大きく改正されているので、注意が必要である。

上記書籍のうち、以下の部分を読みました。

Ⅰ 建築行政

「1 建築基準法に関する判例の動向」

 建築紛争に関連する建築基準法の平成9年~平成14年の裁判例が解説されている。

2 建築確認、建築許可と不服申立ての適格」

・建築確認、建築許可の種類と処分性の有無

・建築審査会に対する審査請求と申立人の不服申立て適格

・処分の取消訴訟、無効等確認訴訟、不作為違法確認訴訟と原告適格

・執行停止、違反是正命令に関する訴訟

 なお、本稿では指摘されていないが、行政事件訴訟法改正により、義務付け訴訟(申請型(申請人が原告となる場合)、非申請型(申請人でない人が原告の場合))、差止訴訟、仮の義務付け・仮の差止も新設され、各訴訟等の要件も改正されている。

「3 建築基準法上の道路を巡る公法上・私法上の諸問題」

 道路法にいう「道路」だけでなく、建築基準法の「道路」については、建築確認の前提として建物の接道義務(建築基準法42条)、建築制限(建築基準法44条)、廃止制限(建築基準法45条)の効果が生じる。

・1項道路(建築基準法42条1項)

・位置指定道路(建築基準法42条1項5号)に関する公法上の問題

 道路位置指定処分の処分性、原告適格、関係者の同意、承諾ない場合の効力

・私道の廃止(建築基準法45条1項)

 道路位置指定廃止処分の処分性、関係者の同意、承諾ない場合の効力

承諾ない場合の効力

・2項道路(建築基準法42条2項。この本では「みなし道路」)

・通行妨害と妨害排除請求権

 最高裁平成9年12月18日は、従来から近隣住民の通行の用に供され、現況道路とされている私道に関して、通行の自由を認め、妨害排除請求権を認めた。

 最高裁平成12年1月27日は、徒歩・自転車等による通行のみされている道路に関して、自動車による通行まで認められないと判示した。

「4 条例に基づく建築禁止命令の履行を求める訴訟」

 国・地方公共団体が、財産権の主体として提起する訴訟は別として、法律の適用により行政上の義務の履行を求めることは行政的な手段(行政代執行、行政罰、罰則等)によるべきであるから、訴訟によることはできない(最高裁平成14年7月9日)。

Ⅱ 請負

「6 建築請負契約における危険負担」

(1)民法の危険負担

(2)建物建築請負建築紛争と危険負担

(3)請負契約と危険負担の債務者主義の結果の妥当性

(4)目的建築物の所有権の帰属と危険負担

(5)建設業法の規定と建築物標準請負契約約款

(7)公共約款と危険負担

(8)民間連合約款の危険負担

(9)公共約款と民間連合約款との関係

本稿では指摘されていないが、以下を補足したい。

建築請負標準約款は、公共工事、民間工事、下請けの用途別に定めている。

公共工事

 建設業法は、公共工事の入札の前提となる経営審査事項などが定めている。

 公共工事の前払金保証事業に関する法律

民間工事

 新築住宅に関して、住宅の品質確保の促進等に関する法律、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律 が適用される。

 中古の住宅、あるいは事業用建物に関して、民法に関する本稿は参考になる。

下請け工事

建設業法で、下請け工事については、契約書を取り交わさなければならないと定めている。

なお、下請代金支払遅延等防止法は建設業には適用されず、建設業法が下請け業者の保護の規定を定めている。

「7 追加工事・変更工事」

 基本となる請負契約に関して、追加工事・変更工事、または、別工事を論じている。

 追加・変更工事の発注につき、代理権を授与されないかぎり、監理者は請負工事が設計図書のとおりになされているかを照合確認する業務であるから代理権がなく、また、発注者の家族も代理権がない。

また、発注者が下請人に指示しても、契約は発注者と元請負人との契約であるから、原則として、追加・変更工事の指示にはならない。

追加・変更工事により、工事期間が延長となる場合、建築確認と異なる建物ができる場合がある。

 追加・変更工事の算定基準については、本稿では指摘されていないが、現在では、東京地方裁判所民事22部(建築部)では、公共工事の積算単価を用いて算定されている。

「8 建築請負契約と事情変更の原則」

建築請負標準約款のうち、事情変更の原則の現れとして、インフレ条項、スライド条項が取り上げられている。

実務的には、急激なインフレよりも、労務賃・材料代・運賃などの高騰が考えられるであろう。

「9 建築請負における瑕疵担保責任と債務不履行責任」

 請負に関して、民法は、請負人の報酬請求権の要件事実を、仕事の完成と引き渡しを要件としている。

 建築請負の完成に関して、裁判例は、以下のとおり解しており、東京地方裁判所民事22部(建築部)の見解でもある。

工事の最後の工程を負えない場合は工事の未完成に該当し、請負人は、出来高報酬請求権があるが、報酬のすべてを請求できない。なお、最高裁判決は、出来高報酬について、当事者間に特約がある場合、または、仕事が可分で、かつ出来高部分だけでも有用性がある場合に認めている。

最後の工程まで一応終了している場合には、請負人は報酬請求権があり、注文者は瑕疵担保責任を追及できる。

なお、民法570条(瑕疵担保責任)については、古い判例には競売に関する事案が含まれているが、民事執行法は特別規定を設けているので、今日では立法的に解決されている。