- 河野 英仁
- 河野特許事務所 弁理士
- 弁理士
対象:企業法務
- 村田 英幸
- (弁護士)
- 尾上 雅典
- (行政書士)
執筆者:弁理士 河野登夫、弁理士 河野英仁
2.3 均等論とは
他社特許が構成要件A,B,Cであり、自社特許がA,B,Dの場合、特許権侵害にならないから、一安心と判断するのは早計だ。最高裁判決により確立された均等論という概念がある。
権利範囲は原則としてクレームの文言「構成要件A,B,C」限定されるはずである。しかしその文言の範囲を超えて解釈する場合がある。これが均等論である。権利範囲はグレーのゾーンまで拡大する場合がある。
例えば、他社特許の構成要件Cが
「2つの部材をボルト及びナットで固定する手段」であり、自社の装置がD「接着剤により2つの部材を固定」する場合、文言上の侵害とはならない。しかしグレーゾーンである均等と判断される可能性は高い。
このように権利範囲はアメーバのごとく広がり、また逆に狭くなることもある。均等かどうかの判断は極めて困難であるため、疑義が生じた場合は、特許担当者または弁理士に相談することをお勧めする。
(第26回へ続く)