遺族年金の受給権者としての「配偶者」 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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対象:民事家事・生活トラブル

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遺族年金の受給権者としての「配偶者」

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相続

遺族年金の受給権者としての「配偶者」

◎重婚的内縁関係にある者がいない場合

重婚的内縁関係にある者がいない場合には、法律婚をしている妻が、婚姻関係の実情にかかわらず、遺族年金の第1順位の受給権者である「配偶者」に該当する。

また、遺族年金・死亡退職手当の受給権は、法律・条例等の規定によって発生するものであって、相続財産ではない。遺族年金の受給権は、規定によって、受給権者が直接取得するものである。

遺族年金の第1順位の受給権者である「配偶者」規定について、最高1小判昭55・11・27民集34巻6号815頁は、右規定が、民法と別の立場で受給権者を定めたものとし、受給権者たる遺族(右最高2小事件の場合、別居しかつ離婚調停中であった妻)は、相続人としてではなく、右の規定により直接死亡退職手当を自己固有の権利として取得するものと解した。

最高2小判昭58・10・14判例タイムズ532号131頁は、滋賀県職員退職手当条例の同種の「配偶者」規定について、最高1小判昭55・11・27民集34巻6号815頁と同じ見解に立って、右規定が、民法と別の立場で受給権者を定めたものとし、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、右の規定により直接死亡退職手当を自己固有の権利として取得するものと解した。最高2小判昭58・10・14判例タイムズ532号131頁の事案では、重婚的内縁関係にある者が存しない場合であって、このような場合に、死亡職員と当該配偶者との事実上の婚姻関係如何によって、第1順位にある配偶者をさしおいて、死亡退職手当の受給権を相続財産に属するものとして、死亡職員の母や兄姉など、条例の規定上第2順位にある者への遺贈の対象とすることは許されないものとした(すなわち、死亡退職手当の受給権は相続財産ではない)。

なお、上記の事例は、死亡した者に法律上の妻と重婚的内縁関係にある者がいる場合に、遺族年金の受給権者である「配偶者」がいずれかというケース(最高裁1小判決昭和58年4月14日・民集37巻3号270頁、最高裁判決17年4月21日・最高裁判所裁判集民事216号597頁、判例タイムズ1180号171頁)とは事案を異にするものである。