- 奥村 召司
- 株式会社空間設計社
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
小学校の低学年の頃、母親に連れられてよくお茶の稽古場に行っていた頃の記憶はさすがに薄いのですが、母親が体を悪くしお茶が出来なくなったため、中学〜高校〜大学時代は自宅の茶室(四畳半)を自分の部屋として使っていたのは昨日のように覚えています。つまり私の部屋には床の間があり、炉が切られていた訳です。床柱は桜の木、天井は勿論網代天井でした。それから30年経って自分がお茶の稽古を始めるとは思いませんでしたが・・。今、お世話になっている先生のご自宅稽古場は本で見る様なお手本通りの茶室。建築家である私にとってもとても勉強になります。そしてお点前をする立場になって少し分かってきたこと・・それは進取の精神が認められることと認められないことがあるということ。例えば床の間のしつらえに関してはデザインの自由度がありそうですが、畳のサイズについては京間を踏襲しないと足の運びが狂ってしまうことを実感しました。また新しい概念で茶室を計画するとしても、ニュートラルな空間は不向きであり、正面性を強く意識させることがとても重要であるとか・・。洗練された美学から成り立っている茶道の場の緊張感はとても素晴らしいと感じるたびに、自分も茶室を設計したいと・・・また建築家の「作りたい持病」です。