無効理由のある商標権 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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無効理由のある商標権

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相続

無効理由のある商標権

特許権の無効理由など、特許権の行使が権利濫用がある場合には、権利濫用の抗弁で対抗できる( 最判平成12・6・11、キルビー特許事件)。

2004年改正で、特許法104条の3が新設され、商標法39条で準用している。

したがって、無効理由のある商標権については、商標法39条・特許法104条の3で対抗できる。

商標法第47条1項  商標登録が第3条、第4条第1項第8号、第11号から第14号まで、第8条第1項、第2項、第5項の規定に違反してされたとき、商標登録が第4条第1項第10号若しくは第17号の規定に違反してされたとき(不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除く。)、商標登録が第4条第1項第15号の規定に違反してされたとき(不正の目的で商標登録を受けた場合を除く。)、商標登録が第46条第1項第3号に該当するときは、その商標登録についての同項の審判は、商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は、請求することができない。

  商標登録が第7条の2第1項の規定に違反してされた場合(商標が使用をされた結果商標登録出願人又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものでなかつた場合に限る。)であつて、商標権の設定の登録の日から5年を経過し、かつ、その登録商標が商標権者又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その商標登録についての第46条第1項の審判は、請求することができない。

ただし、商標権登録無効審判には5年間の除斥期間がある(商標法47条1項)。

条文上では「無効審判によって無効と判断されるべきもの」と規定している。

無効理由があっても、上記の除斥期間を過ぎた場合には、その間に商標に信用が化体することもあり、無効理由が治癒されたとみられる。

したがって、除斥期間経過後は、商標法39条では対抗できない。

しかし、

商標法第47条1項によれば、

 商標登録が第4条第1項第10号・第17号の規定に違反してされたとき(不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除く。)、

商標登録が第4条第1項第15号の規定に違反してされたとき(不正の目的で商標登録を受けた場合を除く。)、

(注)なお、商標法4条1項19号は「不正の目的」が要件となっているから、商標法47条1項で適用除外する必要がない。

商標法47条1項2項に掲げられた条項号以外の違反の場合

には、無効審判請求できる。

したがって、これらの場合には、キルビー抗弁と構成するまでもなく、商標法39条で対抗できると解される。

もっとも、事実関係からみて、商標権の権利行使が濫用に該当する場合には、権利濫用の抗弁を認める余地はある(『商標・意匠・不正競争判例百選』32事件[森善之]、小谷武『新・商標法教室』430~431頁)。