- 河野 英仁
- 河野特許事務所 弁理士
- 弁理士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
〜組み合わせ自明に関する教科書的事例〜
Agrizap, Inc.,
Plaintiff-Cross Appellant,
v.
Woodstream Corp.,
Defendant-Appellant.
河野特許事務所 執筆者 弁理士 河野英仁 2008年6月18日
(3)出願人による反論
ここで問題となるのは出願人側での反論事項である。米国特許法第103条(a)の拒絶理由を受けた場合、今度は出願人側が自明でないことを立証する責を負う。
(A)有効でない反論
「審査官は、一応の自明(prima facie case)を立証していない。」
「審査官は一般常識と述べているが、具体的な書面による証拠をもって立証するものではない。」
ガイドラインにおいては、これらの反論をしたとしても、有効ではなく同様の理由によりFinalオフィスアクションを通知すると述べている。
(B)有効な反論・対策
組み合わせ容易と判断された場合、以下の反論を行う。
(i)先行技術の認定の誤り
まず審査官が挙げた先行技術が妥当なものであるかを検討する必要がある。審査官がクレームの構成要件とは全く相違する先行技術を挙げる場合もあり、この場合、Graham factor(b)「先行技術とクレーム発明との相違点確定」に誤りがある点を反論する。
(ii)補正による構成要件の追加
(i)において認定が妥当と思われる場合、先行技術中に存在しない構成要件を追加する減縮補正を検討する。先行技術に存在しない構成要件を追加する補正を行うことが最も有効な対策である。
(iii)予期できない効果を主張する
クレームにより予期できない効果が生じることを主張する。ただし、一般的なメリット、例えば小型化達成、信頼性の増加、操作が簡易となる、及び、コスト低減等の主張は認められにくい傾向にある*6。
(iv) Graham factor (d)2次的考察を主張する
例えばクレームに係る製品の商業的成功、長期間未解決であった必要性、他人の失敗等を主張する。
(v)当業者が組み合わすことができない点を主張する
公知の方法では、当業者が組み合わせることができないことを主張する。これは例えば組み合わせることに技術的困難性がある等の阻害要因(Teach away)*7を主張する。
(vi)組み合わせたとしても同様の効果を奏し得ない点を主張する
先行技術中の各技術を単に組み合わせたとしても、クレームが奏する効果を奏し得ない点を主張する。
判決 2008年3月28日
以 上