- 葛西 伸一
- 株式会社メンター・クラフト 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
対象:人材育成
今話題の二つの熱血教師学園ドラマシリーズ。
なぜ、この二つのドラマが 大人気となっているのか?
「ルーキーズ」の平均視聴率(1話〜6話)が、12.22%、
「ごくせん」の平均視聴率(1話〜8話)はなんと、23.83%で、
2008年4月〜6月全局ドラマ部門の堂々の第一位だ。
(Audience RatingTVより)
これら多くの視聴者を引き付ける、両ドラマの主人公に共通するリーダーシップ行動の魅力に迫る。
視聴者を釘付けにするリーダーシップ行動
A;「このクラス全員で一緒に卒業しよう!」
B;「夢と目標をもって、甲子園に出よう!」
Aは、仲間由紀恵が演じる「ごくせん」のヤンクミの定番セリフ。
Bは、佐藤隆太が演じる「ルーキーズ」の川藤の定番セリフ。
ご覧になっていない方のために、この両ドラマの概要をご説明する。
「ごくせん」が不良グループを「本当の仲間」という切り口から更生させていくというストーリー。
毎回発生する数々の問題をヤンクミこと仲間由紀恵が、生徒愛する
情熱と、極道一家の娘として生まれた格闘の手腕で、解決していくという内容。
最近では、内容もあえてドラマ最終部分にヤンクミが登場し、
悪者をやっつけるという、まさに現代の水戸黄門的な構成にしている。
その水戸黄門効果によって視聴者を離さないように構成されている。
一方の「ルーキーズ」は、こちらも何の楽しみも持たない
不良グループたちを、情熱と愛情にあふれた若手教師の川藤が、
野球という切り口から、夢と目標を持たせて、更生させるという
ストーリーだ。
一見同じ熱血教師ドラマでも、切り口が違う二つのドラマ。
しかし、この二つのドラマには現代の若者から大人までが
惹きつけられる共通要素を持っているのだ。
それが、「強烈な現代型リーダーシップ行動」GAMS(ギャムズ)のフレームワークを両教師が実演しているからだ。
GAMSのフレームワークの詳細については、ひとつまえのコラムを読んでいただきたい。
http
GAMSのフレームワークを簡単に説明すれば、
次のリーダーシップ行動ステップだ。
(1)目標、夢を設定し(Goal)
(2)その実現体制を構築し(Achieve the system)
(3)モチベーションを向上させ(Motivation)
(4)サポートして、問題解決を図る。(Support & Solution)
このGAMSのフレームワーク(リーダーシップ行動)を、
ヤンクミこと仲間由紀恵、川藤こと佐藤隆太が見事に
演じており、その情熱的なGAMSの行動に視聴者が
惹かれているのだ。
両者のGAMSのフレームワーク行動
「ごくせん」ヤンクミ
みんなで一緒に卒業するゴールを設定(G)
生徒が問題を起こしても学校と交渉し(A)
常に明るく、楽しい結果を掲げてモチベーションを揚げ(M)
生徒がピンチのときには、一肌脱いで全力で助ける(S)
「ルーキーズ」川藤
みんなで甲子園出場を目指すという新しい夢を設定(G)
生徒が道を外れそうになっても学校との交渉、練習試合の設定など(A)
決してくじけず、夢を実現することが素晴らしいことを自ら信じる(M)
(時に、中国のコトワザを使用し”自分にもできるんだ”と知らしめる)
生徒がピンチのときには、体を張って全力で問題解決にあたる(S)
これは体感だが、近年40代、30代、20代と年齢層が下がるにしたがい、
「リーダーシップ型人材」の割合が少なくなってきている感じを受ける。
この体感が正しいとした場合、さまざまな時代的背景的な要因が考えられる。
・兄弟が昔に比べると少ない
・子供同士で外で遊んだりせずにテレビゲーム世代
・学生時代を携帯コミュニケーションで過ごしリアルコミュニケーション不足
これらからくる、「誰かに頼りたい」「引張ってって欲しい」という潜在的な気持ち、
誰かに自分を信じてほしいという若者たちの気持ち。
逆に、できるならこんな教師たちのように今の若者を引っ張っていきたい。という大人のきもち。
こういった、現代人の心理に不足した心の栄養剤的な役割をこの両ドラマが担っていると言える。
ヤンクミが常に訴えることは、
「腹割って話せる仲間のありがたさ、生んでくれた親のありがたさを知れ」
川藤が常に訴えているのが、
「夢をばかにするな、夢と目標を持て」
だ。実はこれらは現実の世界でも非常に重要な要素であり、
これらを本当に理解することで、ビジネスの上でもその人の魅力が
向上し成功へ近づくことができる。
ドラマをみて、「こんなことありっこない」「架空のドラマの話だ」と
一蹴してしまう人がいるなら、ぜひもう一度考えてみてほしい。
これらのドラマから学ぶべき点は多いはずだ。
確かに、これらのドラマのように、全てが順調にいくドラマと現実の世界を
比較するとギャップを感じるかもしれない。しかし、現実の世界でも彼ら
両教師がとっているリーダーシップ行動は、非常に大切な要素であり、各界で成功している
リーダーたちも表現こそ異なるが、GAMSのフレームワーク行動という
エッセンスを実行しているのだ。
単なるドラマとしてとらえる人と、なぜこのようなドラマが人気があるのか?
なぜ、彼らの行動に不良生徒たちが更生されていくストーリーに仕上がるのか?
という観点で見てみれば、明日からみなさんのリーダーシップ行動にも
多いに役立つのではないだろうか。