旅もしてるし、お金も使う!若者の旅の新常識とは!? - 調査・リサーチ企画 - 専門家プロファイル

山田 祐子
株式会社井門観光研究所 代表取締役
旅館・民宿プランナー

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閲覧数順 2024年04月17日更新

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旅もしてるし、お金も使う!若者の旅の新常識とは!?

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こんにちは。山田祐子です。
オールアバウトが運営するマーケティング・チャネル「生活トレンド研究所」の第10弾のレポート「『今どきの旅』に関する調査」に、研究員ガイドとして参加しました。今回のコラムでは、担当のレポート部分をご紹介します。

調査期間:2013年8月5日(月)~2013年8月7日(水)
調査対象:1都3県在住の 20~64歳男女
回答数:1011名

若者は旅に出ていた?!

「若い世代が旅行離れしている」と言われていますが、いったいどなたがそれをおっしゃているのでしょうか。もしかしたら、これまで「若い世代」を扱ってきた観光業界(旅行会社、運輸機関、宿泊施設)の方々なのかもしれません。

グラフ(1)「ここ2年間の間で旅行に行きましたか?」をご覧ください。20代の若い世代は、国内、海外ともに他年代と同じくらいの旅行経験があるのです。特に、海外は他年代に比べても一番高い比率となっています。

グラフ(1)「ここ2年間の間で旅行に行きましたか?」

生活トレンド

若者の「旅」の定義とは?

20代は何を目的に旅をしているのでしょうか?そして、何を「旅」と位置づけているのでしょうか?1泊以上の宿泊目的を測るうえで、「宿泊しても行きたいと思うことは何か?」の回答ランキングをご紹介しましょう。

その第1位は15.2%で「スキー・スノーボード」。第2位は12.1%で「フェス・ライブ・コンサート」。第3位は「スポーツ観戦・スポーツ」という結果となりました。若い世代の旅の目的は、とても活動的です。

しかしながら、グラフ(2)「宿泊した一連の行為で“旅行”としてカウントしましたか?」では、2位(フェス・ライブ)や3位(スポーツ)の目的は、全世代を通じて半数以上が“旅行”としてカウントしていないことが分かったのです。

「フェス・ライブ、スポーツ観戦」などは、既存の旅行会社を使わずにネットでダイレクトに予約しているのではないでしょうか。そのために、そうした行動が「旅行」と認識されず、「自分は旅行に出かけた」と思われていなかったのではないでしょうか。

グラフ(2)宿泊した一連の行為で“旅行”としてカウントしましたか?

生活トレンド

リアルな繋がりにこそ投資する

また、若者が旅行をしないと言われている理由に日常の高額出費に対する負担があり、その典型として「携帯電話の代金に費やしてばかりいるからだ」という声 も聞かれますが、グラフ(3)「旅行等に行く際の平均的な予算額」では、20代は他の年代に比べ、微かではあるものの5万円以上を予算とする割合が高い、 ということが分かりました。これは、およそ60代と同程度の割合です。すなわち、「携帯電話の代金に~」という推測は間違いということになります。

これまで、「格安航空券を使ったパッケージツアー」こそ若者の旅の代名詞のように言われてきましたが、そういった手段的なことよりも、スマートフォンやパ ソコンといったバーチャル世界では手に入れることができない「旅」という「リアルな繋がり」こそ、若者にとっては対価を支払いたい対象であると言えるので はないでしょうか。 「モノはどこのものでもお取り寄せができますが、コト(体験)はできない」ことを感じとっているのでしょう。

グラフ(3)旅行等に行く際の平均的な予算額

生活トレンド

“みんなで”旅をつくってしまおう!

団体周遊型の旅行商品に魅力を感じられない若者は、自ら旅行をつくり始めました。その好例が「みんなで旅を作るソーシャル旅行サービス“trippiece(トリッピース)”」です。

これは、若者が得意とするSNS上で、ユーザー自身が旅を発案して参加者を集め、参加者同士で旅を作り上げていく「プラットフォーム」の役割を果たすインターネットサイトで、晴れて最少催行人数が集まった場合には、旅行会社に見積りを依頼することができます。

注目すべきは、単なる仲良しサークルではなく、既存の旅行会社を巻き込んだ新たなビジネスモデルを生んだことでしょう。実際は若者だけでなく60代の参加者もあるようです。新たな旅行需要を創出する可能性を感じます。

※トリッピースは、観光庁が主催する「第一回『今しかできない旅がある』若者旅行を応援する取組表彰」にて、観光庁長官賞も受賞しています。

 

旅館が減っても簡易宿所は増えている

厚生労働省発表の「生活衛生関係営業施設数の年次別推移」によれば、旅館業の数は減り、民宿・ペンション・ゲストハウス・バックパッカーズ宿の数は増える傾向にあるという統計が出ています。

その代表事例としては、全国で11施設を展開する“カオサングループ”や都内に2施設を運営する“Backpackers’ Japan”など。国内ゲストハウスを集積した総合サイト“JAPAN BACKPACKERS LINK”も登場しています。



簡易宿泊所が増えているその訳とは

そうした民宿・ペンション、ゲストハウス・バックパッカーズ宿の実際の利用状況はどうかというと……

グラフ(4)「2年間で宿泊した施設(民宿・ペンション)」とグラフ(5)「2年間で宿泊した施設(ゲストハウス・バックパッカーズ宿)」を見てみると、他の世代に比べて20代の利用が多いことが分かります。

これらの宿に泊まる目的は、従来の「安いから泊まる」だけではなく、「宿から世界につながる」です。外国人旅行者の受け入れ施設としてはもとより、日本の若者が利用する場合、「国際交流の場」として意味合いが強いようです。

今回の調査で、若者は多様に旅をしていることが分かりました。宿はスマートフォンで検索をし、交通手段は安価のバスツアーやLCC(格安航空会社)で移動 する、というのが若者流の「今どきの旅行」。パッケージツアーを主体とする旅行会社の統計調査では実態を把握し切れないのが現状だと思います。

「企画は若者に託し、仕組みで利益を享受する」。旅行業者も、発想を転換し、新たなビジネスモデルを創造することで、新たなビジネスチャンスもあるのではないでしょうか。

グラフ(4)2年間で宿泊した施設(民宿・ペンション)

生活トレンド


(All About 旅館 「旅もしてるし、お金も使う!若者の旅の新常識とは!?」 より)
http://allabout.co.jp/gm/gc/425989/

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