- 西田 淑子
- サクセスインサイド・コミュニケーション 代表・コミュニケーショントレーナー
- 大阪府
- ビジネスコーチ
対象:コーチング
大阪と東京では食文化が違います。日本が世界に誇るファーストフードはうどんでしょう。そのだしも、大阪と東京では随分違います。最近は、食の世界でもグローバリゼーションが進み、大いなる違いを感じるという、衝撃的な出会いも少なくなったように思います。国土の広さは中国に比べたら、摘まんではじけるほどの大きさしかない日本でも、地域によって、ずい分と食文化が異なるのは、面白い現象です。
トッピングなしの汁と麺だけのうどんを、関西では「素うどん」と言いい、関東では「かけうどん」と言います。うどんは日本のファーストフードです。味は勿論、速さが勝負の料理です。従って注文なども、少しでも時間を短縮するために、省略したり早口で言ったりします。素うどんは早口で言うと「すうろん」になります。東京ではかけうどんは「かけ」と言います。「すうろん」と「かけ」は、汁の味や、麺のこしが少々違いはするものの、基本的には同じトッピングなしのうどんに変わりはありません。しかし、文字面だけだと、「すうろん」と「かけ」が、よもや同じ料理だということは、この世界を知らない人にとっては、想像の域を離れます。ちなみに、大阪で「かけ」というと、トッピングなしの蕎麦のことです。うどんは「素うどん」と言いますが、蕎麦は「素そば」とはいいませんね。
大阪でポピュラーなうどんは、甘辛く炊いたうす揚げをトッピングした「きつねうどん」です。「うす揚げうどん」とか「揚げのせうどん」とは言わずに「きつねうどん」と言ったところが興味深いですね。うす揚げのことを、大阪では「油揚げ」と言います。
キツネの好物は油揚げ、と決まっているそうで、そこから「うどん+油揚げ=きつねうどん」、という公式になったようです。しかし、誰が油揚げをきつねの好物だと決めたんでしょう。少なくともきつねで無いことは確かです。油揚げは人間の作った人工物ですから、きっと人間が勝手にそうしたんでしょう。
昔は蓄えている米を食べにくるネズミを、キツネが取ったので、そこからキツネは米を守る神様の使い、ということになったのでしょう。稲荷神社はそんなところが由来になります。キツネへのお供え物には、油揚げをネズミに見立てたことから、キツネの好物は油揚げである、ということにもなったそうです。油揚げにすし飯を詰めたものを「稲荷寿司」と言うのも、「キツネー>ネズミー>油揚げー>稲荷神社」という関係から成り立っています。
キツネがどう思おうと、人間は、キツネは油揚げが好きだと思いたいようです。「きつねうどん」といえば、大阪でも東京でも、油揚げの乗った汁かけうどん、です。その公式で行くと、油揚げの乗った汁かけそばも「きつねそば」、ということになりますが、この名称「きつねそば」で油揚げの乗った汁かけそばが出てくるのは東京で、大阪でうっかり「きつねそば」なんて言おうものなら、早口で声のでかいおばちゃんに「たぬきでっか?」と聞き返されます。
大阪では「きつね」は、油揚げの乗った汁かけうどん、「たぬき」は油揚げの乗った汁かけそば、という別称になっているわけです。東京ではうどんでも、そばでも、油揚げがきつねなので、わざわざ「きつねうどん」「きつねそば」と言います。うどん、そばの名称の合理性に関しては、大阪のほうが合理的です。
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