＜医学博士が解説＞ベロがピリピリ、舌先がヒリヒリ…舌痛症をご存知ですか？

<コラムの要旨＞

　口の中の不快感、ネバネバ感、ベロや舌先のヒリヒリとした症状として出現する舌痛症（ぜっつうしょう）。近頃、患者さんが急増中の疾患ですが、舌痛症の症状、治療、病院選びをオーラルメディシンに精通した歯科医師が解説。

1.舌痛症はめずらしい症状ではありません

　近頃は、舌のヒリヒリ感？を訴える患者さんが多く来院されます。
　皆様は「舌痛症（ぜっつうしょう）」って聞いたことがありますか？舌の表面に痛みの原因となる器質的な異常や病変（口内炎などの炎症や粘膜の荒れ、腫瘍（出来物）など）がないのにもかかわらず、ピリピリと痛んで気になってしまう・・・そんな症状を舌痛症と言います。　　

　めずらしい症状と思われるかもしれませんが、患者さんの数は大変多く、当院の場合、月平均で10名以上の方が来院されます。男性よりも圧倒的に女性に多く、むし歯の治療が契機になって症状が出現することが多いため、「以前に他の歯科で治療に使用された薬剤や金属のアレルギーなどでは？？」と考える方が多いようです。

舌磨き（舌みがき）で口臭ケアのウソ　http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-154499/

2.舌痛症の症状や原因とは？ 

　これまで患者さんが痛いと訴える舌の部位に、見た目的に明らかな異常が認められなければ、「更年期障害」、「不定愁訴」となどと診断され、「うつ症状」やストレスに起因する心因的なものとかたづけられてきました。

 原因やメカニズムについては、カンジダ（カビ）との関連性、舌の血行障害など諸説がございますが、私の経験上、多くはメンタル面に関連があることは間違いなさそうです。

1）実際にお話しすると舌痛症の患者さんの特徴として生真面目な方が多いこと。　
　几帳面で、執着心が強い性質の人が舌痛症の患者さんに非常に多いです。
2）痛みの度合、場所や範囲が一日の中で変わる（日内変動）、日によって変化する。
　例えば、食事中や仕事中など、何かに集中しているときほとんど痛まない。
3）むし歯の治療や身内の不幸がきっかけで始まることが多い。
4）舌の痛み以外に多彩な症状を訴える患者さんが多い。
　舌の1種類の病気では起こり得ない、口の中の乾き、味覚異常、胃腸の不具合や咽頭の違和感の訴えなどを同時におっしゃる方が多い。

　などの臨床的な特徴がございます。

 また、舌がんへの恐怖心やAIDSなど、何か深刻な病状を連想していたり、ストレスや疲労が加わると、症状が増悪することからも、心理的要素との関連性がうかがえます。