12000円割れでようやく底を確認
日経平均株価は、為替マーケット4月号にも記したように、3月17日に1万1726円の安値をつけ、引け値ベースでは1万1787円となった。
このレベルは、2003年のバブル後の底値7607円から昨年7月の高値18261円までの上昇幅の約60.7%の下落となった。これは、チャート上の節目としてよく用いられるフィボナッチ係数(61.8%)をほぼ達成しており、株式市場もチャート的に見れば一旦は底打ちをしたと見られる。
また、2000年以降のマーケットにおいて、1万1000円から1万2000円の価格帯での株式の売買高は非常に大きく、これを下抜けるにも相当のエネルギーが必要である。逆に1万2000円から1万3000円のレンジでは売買高は非常に少ないため、抵抗なく上にも下にもいけるレンジとなっている。ということは、今回の相場でも見られたように、1万1000円台という分厚い壁に跳ね返されて反転し、壁の薄い1万2000円台は難なく追加して、1万3000円台へ戻しているのが現状である。要は、これまでの相場はある程度チャート的にも予想された動向であり、本格的な反転ができるかどうかは、ファンダメンタルの裏づけがないと難しいであろう。
ドル円についても、一旦は底を打ったと見られているが、昨年に比べて10円の円高レベルは暫く続くものと思われ、これからの企業収益に影響を及ぼしてくるであろう。年後半にかけての企業業績の発表で明らかになるにつれてマーケットも軟調に推移するものと予想する。
更に、大きな問題は政治リスクである。これまでにも何度も述べてきたように、ねじれ国会の影響により何も決められない状況が続いており、日銀総裁も空席にするなど、海外投資家から見れば、これからもし何かが起こったときの金融市場の混乱への対処が全く期待できないことから、日本へは怖くて投資ができないであろう。
今年の戻りは、昨年の高値18261円から今回の安値11787円の半円戻し=15024円が精一杯で、これを抜けるには政局打破が必要ではないだろうか。