- 松岡 在丸
- 松岡在丸とハウジング・ワールド
- 東京都
- 建築プロデューサー
対象:住宅設計・構造
日本の住宅で、特に問題だと思うポイントの一つが、廊下や、階段上のホールなど、「通路」として使われるパブリックスペース。
一日のうちで一番使われることが少なく(通る時しか使わない)、風通しも日当たりも悪いこの空間。果たして必要でしょうか?
海外の住宅を見てみると、「暗いホール」というのはほとんどありません。階段も吹き抜け状態になっており、階段上のホールはある程度広くて明るいのです。
日本は土地が狭く、どうしてもスペースを確保することが難しくなりますから、できるだけ部屋を広く、明るくしたい。窓は部屋に設けたいので、廊下やホールは犠牲になりがち。
私が推奨する間取りは、いっそのこと、通路にしかならないスペースを無くしてしまうことです。
例えば、玄関を入って靴を脱ぎ、玄関ホールに上がります。そこから廊下や、リビング・ダイニングへのドアがあります。果たして、本当に玄関ホールは必要でしょうか? 玄関先に来た宅配のお兄さんに中を見られたくないのであれば、パーティションなどの「衝立(ついたて)」が一枚あればいいだけ。その分、スペースをLDKに吸収させた方が、広くて開放的な空間を造れます。
先日も間取り相談の問い合わせがありましたが、二階の階段上のホールが暗く、しかも空気の流れが悪いという事例でした。
これでは、二階の子供部屋と一階のリビングやダイニングとの間に、『暗い壁』が存在しているかのようです。
リビングに階段を設け、そして階段も含めて階段上のスペースまでをリビングの延長のような使い方のイメージを描ける間取りにすることで、暗くて無駄なスペースを省き、その分、有意義なスペース活用ができるのです。
廊下やホールが無い家、一度住んでみると自然体になります。多くの方は廊下やホールがあるのが当たり前と思っていますが、意外とそうではありません。無くても、案外快適なものなんです。
ですから、日本の常識で家を建てることに固執してしまってはいい家は出来なのです。
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