- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
生命保険契約の無催告失効条項は消費者契約法10条に違反しない
最2小判平成24・3・16民集66巻5号2321頁,判時2149号68頁,判タ1370号102頁、ジュリスト平成24年度重要判例解説67頁
生命保険契約に適用される約款中の保険料の払込みがされない場合に履行の催告なしに保険契約が失効する旨を定める条項は,
(1)これが,保険料が払込期限内に払い込まれず,かつ,その後1か月の猶予期間の間にも保険料支払債務の不履行が解消されない場合に,初めて保険契約が失効する旨を明確に定めるものであり,(これは民法541条所定の相当の期間を定めて催告の上解除できる場合と比較して、より長い期間である。)
(2)上記約款に,払い込むべき保険料等の額が解約返戻金の額を超えないときは,自動的に保険会社が保険契約者に(解約返戻金となるべき額から)保険料相当額を貸し付けて保険契約を有効に存続させる旨の条項(保険料自動振替貸付条項)が置かれており,
(3)保険会社が,保険契約の締結当時,上記債務の不履行があった場合に契約失効前に保険契約者に対して保険料払込みの督促を行う実務上の運用を確実にしているときは,
消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に当たらない。
民法541条は、相当期間を定めた催告+解除である。
上記生命保険契約の無催告失効条項は、督促+契約失効回避のための措置(上記(2)(3)
など)である。
したがって、本件条項が、民法よりも消費者にとって一方的に不利ではないと判断された。
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