正しい叱り方を覚える
最近は、会社で上司が部下を怒鳴っている場面を見ることが無くなった。
決して怒鳴ることがよいとは言えないが、正しく叱ることは、状況によっては
非常に重要な管理職、リーダーとしての役割だ。
ここでは、正しい叱り方を考えてみたい。
コーチングの研修で、時折「コーチング」に”叱る”はないんですか?
という質問をいただく。
答えは、「叱る」はあります。
しかし、普段多くの場合やってしまうのが「怒る」である。
では、叱ると怒るの違いはなんだろうか?
わかりやすく言うと、
叱るは相手のため。怒るは自分のため。である。
「叱るは自分の感情をコントロールできており、怒るは感情をコントロールできてない」状態である。
また、叱るは戦略的であり、怒るは突発的である。
このように、ビジネスシーンにおいて、怒ることは避けるべきだが、
叱ることは、然るべきタイミングで実施しなければならない。
叱るタイミングを考える前に、「自分は叱るほど偉くない」「叱ったら部下が凹むに違いない」「叱ったら、嫌われそうだ」という神話に縛られてしまう上司は少なくない。
叱ることが必要な場面
しかし、叱ることが必要な場面がある。
それは、次のいずれかの条件を満たしたときだ。
・再三注意しても、会社の規律を守らなかったり、生活習慣が改まらないとき
・何度かコーチングを実施しても自分自身の迷いで前え進めず、背中を押すことが必要なとき
・思考からくる言動ではなく、直感からくる言動が、当人または他者へ悪影響を及ぼすとき
・意図的に、できる努力を避けて、楽な道を選び、それが当人に多大な悪影響を及ぼすとき
しかってはいけないとき。
・本人は一生懸命、創意工夫をし努力をしたが、手法や結果が悪かった時。
・新たな事に挑戦したが、手法や結果がよくなかったとき。
・失敗か成功かを明確に定義できない、主観的な”べき論”で判断する事項。
おおよそ上記の要件に集約できる。
これらの要件だけ抑えておけば、部下からの信頼も厚くなるだろう。
大切なのは、自分の感情をコントロールすること。
しかし、「それができずに困っている」という方が多いだろう。
そういう自分の感情をコントロールできず、本音からコントロールしたいと考えている方は、
古臭いと思うかもしれないが、修行という手段をご提案しいたい。
具体的には、(あくまでも例だが)「茶道」「書道」「座禅」など、日本古来からの禅の道だ。
この話はまた別の機会にするとして、叱るというアクションは感情まかせでない分、とても勇気のいることだ。
しかしながら、本当に部下を育てたいと思うならば上記のようなタイミングの際には、
前述したように、神話にとらわれず叱ってほしい。
確かに一時的には、距離が遠くなる可能性もあるが、愛情をもって、相手は必ず答えを持っている
という信頼があれば叱れるはずだ。
そしてもっとも重要なことは、相手を叱るということは、それは自分自身への
戒めでもあることを再認識する覚悟も必要だ。